第12話 月曜来ないでくれないかな
「で、昨日のデートはどうだったんだよ?」
隆史が遊びに来ていた。
「どうって?」
「うまくいったのかってことだよ?」
「それを聞きたいのならまずは評価基準を明確に定めなさい。さすれば答えてしんぜよう」
「童貞のままかー」
「おい」
なんでその結論でしめたし。
「でも、意外だよなー。まさか坂月さんとデートするとは」
「ねー、びっくりだよね~。でも、ウチとしては~」
「その気持ち悪い猫なで声やめろ」
「はい」
「坂月さんって結構男子にきついイメージあるんだけど」
「そうなの?」
「男子に遊びに誘われても全部断ってたから一時期同性愛者なんじゃという疑いが」
「そういうこといってるからじゃない?」
「真実っぽいこと突き付けるのやめろ」
「男子ってマジきもいよね~」
「言われたい」
「きも」
「おい! 明らかに冗談だっただろ!?」
「隆史ってMっぽいよね」
「そんなことないわ!」
「隆史ってホモっぽいよね」
「もっとないわ! あ、お前知らないだろうけど教室でそう言うこと言うなよ? クラスにホモカップルいるからな?」
「まじで!? そんな面白カップルが……?」
「炎上しそうなこと言うな」
「炎上って隆史の推しアイドルがしたやつでしょ?」
「おいやめろ。もう過ぎたことだ」
「裏で付き合ってる人がいたんだっけ」
「もうやめてくれ」
隆史は当時泣いていた。グッズも置いておきたくないから貰ってくれと言われていらないと何度も伝えたけど渡されたので、受け取った後こっそり隆史のお母さんに預けておいた。
「どこか俺のこと好きな女の子はいないのか?」
「いると思ってるなら自意識過剰なんじゃない?」
「おい喧嘩か?」
「隆史ってなんでモテないの?」
「こっちがききたいわ!」
面白いけど、変態だからか。
「おい蛍、ひとりで納得してるけど何考えてたか言ってみろ」
「内心の自由」
「変なこと考えてたのは伝わったわ」
「えり好みしてるからいけないんじゃない?」
「してないけど!? 俺のこと好きな人ならだれとでも付き合うよ!?」
「それもそれでだめじゃない? 体目当てとか最低だよ?」
「体目的じゃないわ!」
「え、じゃあ何目的なの?」
「そりゃあ、えっと……愛?」
「ぞわってした……」
「なんて答えるのが正解なんだよ!?」
「俺に聞かれても。誰かと付き合いたいわけじゃないし」
「そんなこと言ってるやつがデートすんな」
ごもっともで。
「好きな人がいるならアタックすればいいんじゃない?」
「蛍、お前なぁ……そう簡単なもんじゃないだろ? 相手に嫌われたらとか色々考えることがあってな?」
「諦めて次行けば?」
「お前最低すぎるだろ」
「時間の無駄じゃない?」
「はぁ……」
「で、誰が好きなの?」
「なんだそのノリ」
「協力してあげよう」
「なんで上から目線なんだ」
「当事者じゃできない判断ができるかも?」
「まあ、それは確かに?」
「あなたの思い浮かべている人は、女ですか?」
「当たり前だろ!」
「あなたの思い浮かべている人は、後輩ですか?」
「……まあ、そうだよ」
「あなたの思い浮かべている人は」
「お前ふざけてるな?」
「え、隆史の恋愛相談を真面目に受けるとか鳥肌なんだけど」
「この野郎」
***
「じゃあな!」
「学校で」
隆史が階段を下りて行った。隆史の言っていた後輩ちゃんは同じ部活らしい。
よく考えれば俺じゃ名前聞いても誰だかわからなかった。
「蛍?」
「香織?」
「はい、あなたの妻です」
「人違いです。お引き取りください」
「そんな! 結局私は捨てられるのね……こうなったら……っ!」
「うっ」
「はぁはぁ……これであなたは永遠に私のものよ……!」
「で、どうしたの?」
「もうちょっと付き合ってよ~」
俺のお腹に当てたカレールーの箱を袋に戻した。
「今日はカレーだよ?」
「そうなんだ」
「じゃ、おじゃましまーす」
「はいどうぞー」
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