第10話
人類は追放された。
もっと登らなくては。
人間が普通に暮らせるのは、6面ある地球側面の中心から、半径2100キロくらいの所までだと言われている。
今や、殆どがゆであか連中のものだ。
班員たちは、ピッケルを上手に使いながら登っていく。
私も負けじと頑張っていたけど、ついに限界がきた。
1畳くらいの
「もうダメ…… 私、ここで暮らす……」
こんなの数ヶ月ぶりだ。
寝転がってしまうと、もう起きれる気がしない。
「バカタレ」
「もう無理ぃ〜!」
「『辺』を降りた先へ行く約束は?」
「む。じゃあ、後で私を引っ張り上げて」
「無茶言うな!」
「無理言うな!」
「班長! ここにも
「ここにも!」
「こっちにも!」
離れたところに居る班員たちが、口々に報告している。
「おかしい。作為的なものを感じないか?」
「貴重で激レアな
「バカタレ。だから変なんだ」
班長はどうしてもここから移動しておきたいらしい。
でも、私には味方が大勢いる。
「みんな、水平なところで眠りたいよね〜?」
班員たちが、続々と賛同してくれる。
「仕方ない。一泊だけだ」と、班長は折れた。
結局、彼は
いつものスタイルで休むらしい。
快適すぎて、夜はすぐに訪れた。
水平最高!
これじゃ、朝までぐっすり眠れてしまう。
目を瞑って、じっとしている。
もう夢か現か分からない。
なんか額が冷たくて、不快感がある。
ほぼ無意識みたいな感じで、手で顔を拭う。
ぬめりがあった。
その辺になすりつけ、また深く寝ようとする。
────ピチャ。
冷たっ!
────ピチャ。
だからさ〜!
────ピチャ。
ぱっと目を開けた。
「なんッなんだよ! もぅ……ッ!?」
私は一瞬で眠気が覚め、血の気が引いた。
ゆであかが、私を跨いで立っていたのだ。
誰かの頭を丸かじりして、ぽいっと放り投げた。
それは傾斜25°の重力に引っ張られ、地面を転がり落ちていく。
それを見えなくなるまで見送ることは出来なさそうだ。
もう、お分かりでしょう?
「うわァァアアアーーーーーッ!」
ゆであかに頭を齧られ、私は死んだ。
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