第N話

 気が付くと、私は真っ白な空間の中に立っており、美貌の男の子ショタと対峙していた。


 なんという美少年。

 おかっぱ頭と短パンが似合い過ぎている。


「まったく、本当に呆れたよ。きみが不用意に死ねば死ぬほど、世界が壊れていくのが、まだ分からないのか? 変な生物が出てきて征服されるくらいならまだいい。だが、地球が爆速で回ったり、かと思えば四角くなったり……。全部きみのせいだ。俺が丹精込めて仕上げた宇宙をどうしてくれる!」


「え、マジ」

 私は怪訝な顔をしてしまった。

 誰なんだこの美少年は。

 横チンだけは、是非拝んでおきたい。

「体操座りしてみて?」


「うるっさいわ。黙って俺の話を聞け」


 怒られてしまった。

 その顔、マジで可愛いな。


「きみは寿命を全うして死ぬ適用可能関手アプリカティブ・ファンクターだ。きみが軽率に死んで宇宙に例外が発生すると、副作用のあるロールバックによってループに歪みが発生する。俺も出来る限りの改修は行ったが、おそらく、次で本格的に世界は終わるだろう。これが最後のチャンスだと思うべきだ」


「よーわからん。どうすればいいの?」


「生きろ」


「えー、無理だったら無理じゃん」


「いつもきみを生かそうとしてくれる人がいるだろう。その人に耳を傾ければいい」


「おっぱいさわってもいいよ」


「バカタレ! そういうとこだ! いいか、きみを生かそうとしてくれる人に耳を傾けるんだ」


 誘惑も効かんし。

 一体何者なんだ、この美少年は。

 闇の評議員か?


「わかった。がんばってみるよ」


「それでいい。座れ」


 私は言葉に従った。


 彼は手に、大きなフライパンを持っていた。


「行ってこい。これで最後にしよう」

 彼は言って、その手に持ったエモノを振り上げる。


「うわァァアアアーーーーーッ!」


 そして私は転生した。

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