第4話

 突然、班長にクビにされた。


 俺の所帯に入れだって!?


 ニートがお似合いだなんて、冗談じゃ無い。

 そっちがその気なら、私は在野の研究者になって見返してやる!


 毎日デスクに向かって研究を続けた。

 視力が悪くなったので、メガネを買った。

 今の私は、巨乳の眼鏡キャラだ。

 IQも高い。


 2Kの一部屋を無菌室に改造するのはとても大変だった。その後の生活も。


 さて、そろそろ成果が出てもいいころ。


 セリアで買った透明の密閉瓶にオリジナルの培養液を注ぎ、私の皮膚の細胞から作った試料を中に入れ、無菌室の中に放置しておいたのだ。


 確認してみよう。


 私は席を立ち、無菌室のドアを開けた。


 電気を点けると、ちゃぶ台の上に、それは置いてあった。


 静かに歩み寄って、しゃがんで間近に見る。


 オリジナルの培養液のなかで、細胞の塊が脈を打っていた。

 赤茶で、なんか硬そうにも見えなくもない。


「ハ、ハンチョ……!」


 瓶に指を触れると、塊はぐにゃぐにゃと変形して突起を作り、私の指にくっつこうとしてくる。


「す、素晴らしい……! 新しいハンチョ!」


 なんという命の輝き。


 私は完全に魅了されてしまった。


 間違いない。

 この子は私の最初にして最後の最高傑作。


 震える手で瓶を支えながら、蓋の留め具を外した。


 恐る恐る開けてみた。

 そのとき


 あ、これ、ハンチョじゃない。


「うわァァアアアーーーーーッ!」


 に襲われ、私は死んだ。

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