第2話

 今日は班長のオゴリで呑みに行くことになった。


「いっつも財布に10万くらい入れといてよ。ハンチョでしょ」

「うるっさいわ」


 班長のカネを下ろすため、私たちは銀行に入った。

 やたら盛況で、ATMは7台もあるのに長蛇の列ができている。


「なんか人多いね」


「会社員は給料日なんだろう。ていうかカネ下ろすんだから、外で待ってろよ」


 班長は、ガムテ補強済みのバリバリ財布を大事そうに握っている。


 離れろと言われても、椅子は座るに十分なほど空いてないし、外より室内のほうが快適だし、ちゃんとした金額を引き出すのか監視しないと安心できないし、ここから立ち去る理由は一切ない。


 なんて考えながら、私はあくびをした。


「全員両手を挙げろ!」


 大声を上げながら、ヘルメットを被った人たちが入ってきた。


 彼らが構えているのは、麗しきベレッタAR70/90。


「両手を挙げろ! 動いたら撃つ!」


 辺りを見回す。

 他の客たちは、両手を上げて猫背になって、完全にビビっていた。


 銀行強盗なんて、ほんと勘弁してよね。


「バカタレ。大人しく手を上げとけ」と班長。


 いや、ありえない。


 人々をかき分けながら、犯人たちの前に躍り出る。

 堂々と立ちはだかるみたいにして言ったのだ。


「一体なんなんだね、きみたちはァ!」


 私は、ヘルメットのバイザー越しに、連中の冷めた瞳を見た。


 向けられる銃口。


「うわァァアアアーーーーーッ!」


 蜂の巣にされ、私は死んだ。

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