長い数日の始まり4。
彼女の血がべっとりとついた服、そして両腕。そのまま僕はフラフラと自宅に向かっていた。
何でこの状態で家に帰るのか、そんな事すら考える事すら出来なかった。
「ははは。」
何故か笑えてきた。さっき起きた事実を受け入れることが出来ない。おかしくなりそうだ。
僕とすれ違う人全てが、みんなこちらを何度も見て、僕との距離を離す。
今の姿をスマホで撮影されている気もしたが、どうでもいい。
家に着き、そのままの格好で僕は自分の部屋のベッドに横たわる。
ーー二階堂さんが死んだ。
両手についた血を眺める。掌は小刻みに震えていた。
「うっ……ううっ……」
とめどなく涙が溢れてきた。もし、もしあの時、すぐに二階堂さんの元に向かっていたら、助けられていたのだろうか?
孝が話しかけて来なければ助けられたのだろうか?
こんな事を考えても意味がないのはわかってる。
ーーだって、やり直せる事なんてない。
ただ後悔が残る。僕と仲良くならなければこんな事にはならなかった
そう思うと、僕が殺したようなものじゃないか?
そんな思考すら出てくる。
ーーその時、二階堂の持っていたペンダントに似たものを持っていたのを思い出した。
僕は居ても立っても居られずに無我夢中で部屋の中を荒らすように探した。
押入れの中身を乱暴に放り投げ、その血だらけの両手で泣きながら探した。
見つからない! どこだ! ふざけんな!
身体全体を、苛立ちと怒りと、やるせない悲しみが支配する。
こうでもして暴れていないと、本当におかしくなりそうだった。
しかし、部屋の隅々を荒々しく探したがどこにも無い。
何故その似たペンダントを、ここまで見つけたいのか分からない。
似たもので近くに二階堂さんを感じていたかったのかもしれないし、気を紛らわす事で、その事を考えたくなかったのかもしれない。
「うわああああ!!」
机の上に山積みになっている、教科書や漫画を無理矢理どかす。
真っ赤に染まったこの両手と服のまま、様々なところを物色したせいで、部屋の中は赤く染まっていた
「ふふふふっ。あははははは。」
そんな部屋を見てたら笑えてきた。僕はその場で仰向けに寝そべる
「あははははは。あっはっはっは。」
ーーこめかみに冷たい雫が流れ落ちる
その時、ベットの下に探していたものが転がっているのを見つけた。
‥‥あ、あった!?
僕はペンダントに手を伸ばし、しっかりと掴む。
赤く染まったペンダントは、二階堂さんの持っていたものと、全くと言っていいほど同じものに見えた。
両手で祈るように握り思う。何かが頭の中で引っかかっている。
何かを忘れてる。
……だめだ。何も思い出せない。
目の前に見えているようで、それは全く見えていなくて、手が届きそうで全く届かない。
靄がかかり、僕に思い出させないようにでもしているようだった。
ーーその時全身を凄い衝撃が駆け巡る。
「うっ……ぐううう!!」
僕はあまりの痛さにうずくまってしまう。それと同時に、突然ペンダントが光り出した。
ーー僕はその痛さに、思わず意識を失ってしまった。
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