70.完成『生命の粉末』
さて、昨日に引き続きまた幽玄の森にやってきた。
悪霊の涙は補充してあるのでザコはサクサク倒しながらボスへとたどり着く。
「……さて、ボスなんだけどどうやって戦おうか」
「それなんだが。サイ、昨日の……ブラストハンマーか? あれを使えばもっと早く終わるんじゃないか?」
「まあそうなんだけど……あまりフィートの前では使いたくなかったのよねぇ。あれって派手だし」
「一度使ったんだし今更だろ。使おうぜ」
「だね。じゃあ、その方向で」
戦闘の方針も決まったし、早速カーズファントムと戦い始める。
序盤こそ武器が変わったため連携で苦労したが、慣れてしまえばどうと言うことはなくあっさり倒してしまう。
ドロップは……外れだな。
「うーん、また外れだね」
「だな。次行くか」
「そうだね。……にしても、お目当て以外のレアはたまってきたね」
「邪眼のモノクルだったか。あれ、五つも出てるからな」
「私は七つだよ。はあ、どうして魂は出ないのかな……」
「諦めて回数を稼ぐしかないさ。さあ、行こう」
「はーい。次こそ出ますように!」
そんなやりとりをしてカーズファントムを倒すこと数回、ようやくお目当ての魂がドロップした。
「やったよ! カーズファントムの魂!」
「サイもドロップしたのか。俺も手に入ったぞ」
「ふたり同時にドロップとは縁起がいいね! ……ちなみに、フィート。レベルって今いくら?」
「うん? 35まで上がったな?」
「……私は26だよ。ひょっとしてレベルが低すぎるとドロップしない?」
「その可能性もあったんじゃないか? あと、前にサイがコイツはソロ向けだって言っていたような……」
その言葉を聞いた途端、サイは地面に突っ伏した。
すごい落胆ぶりだな。
「……そういえばそうだった。コイツ、ソロ向けのボスだったよ」
「別にパーティで挑んでダメって訳でもないだろう?」
「なんだけどね。パーティで挑むとドロップ率が下がるのよ。普通は人数でカバーできるけど」
「……俺たちふたりだもんな」
「そうなのよ」
今更な事実に遠い目になる。
だが、ここで黄昏れていても仕方がない。
「……よし、気持ちを切り替えて次のボスに向かおうか」
「そうね。次はブッシュデビルの生き血ね」
目的のものは手に入ったので、幽玄の森から百獣の平原へと移動した。
そして、ザコを倒しながらブッシュデビルの元へと向かう。
「やっぱり、基本倍率が上がると楽でしょ」
「だな。これならもっと早くスキルレベルを上げておいてもよかったかも」
「ちなみに、スキルレベル31からはSPを2ポイント消費するようになるから」
「……こっちも楽じゃないな」
「楽な道はないのよ」
軽く雑談をしながらブッシュデビルのところまでたどり着く。
ここも特に先客はおらず、いつでも戦闘を始められる状態だった。
「さて、ブッシュデビルもサクサク倒しちゃおうか」
「だな。こっちは何周することになるやら」
「私のレベルも上がってるし大丈夫だよ! ほら、行くよ!」
サイが気合いを入れて始めたブッシュデビル戦だったが、やはりなかなかお目当てのアイテムはドロップしない。
戦闘回数がもうすぐ二桁になる寸前でようやくドロップした、というところだ。
「やった! こっちは一日でドロップした!」
「やっぱり、カーズファントムはレベル差が問題だったんじゃないかな……」
「うぅ……次からはイベント中のレベルリセットには気をつけようね」
「それがいいかもな。で、どうする? ターミネートアリゲーターの心臓は前に使ってないアイテムが一個残ってるけど」
「うーん、念のためそっちも狙っておこうか」
「わかった。じゃあ移動だな」
「うん、移動移動」
前回と同じようにブッシュデビルのところからターミネートアリゲーターのところまで移動する。
途中はザコも少なく快適……とはいえないが楽な道のりだ。
「ターミネートアリゲーターさえ倒せば今度こそ生命の粉末を作れるね」
「オババが言っていた目安も超えているし、多分なんとかなるだろうな」
「多分じゃなくて絶対なんとかしようよ!」
「了解、なんとかするよ」
そんな感じに和気藹々とターミネートアリゲーターのボスエリアにたどりつく。
ここも先客はいなかったので早速ボス戦だ。
ボス戦といっても特に苦戦することもなく終わってしまったわけだが。
「ターミネートアリゲーターの心臓ゲット!」
「俺もドロップしたな。こっちは確定ドロップなのかな?」
「かもね。それじゃ、オババのところに戻って調合しよう!」
「そうだな、そうするか」
百獣の平原の用事もなくなったので、ファストグロウまで戻ることに。
ファストグロウでオババの店まで戻ったら、調合室に通してもらい早速『生命の粉末』を調合だ。
「ええと、手順はこうでいいから……心臓を粉砕して生き血と混ぜて……」
なかなかグロテスクな作用工程ではあるが、見た目は普通の薬草と変わらない。
なんでなんだろうな?
「最後に魂と一緒に煮沸して……完成!」
最終的には問題なく『生命の粉末』が完成した。
あとは、これを姫様のところに持って行けばクエスト終了だな。
「おめでとう、フィート! これでクエストクリアだね!」
「だな! さあ、オババにお礼を言って姫様のところに向かおう!」
クエスト目標をクリアしたのでオババに一言お礼を言ってから姫様のところに向かうため店を出る。
店を出て飛び上がると、そこでまた不快な視線を感じて空中で止まってしまう。
「フィート、どしたの?」
「いや、なんだかにらまれているような視線を感じて……」
「んー? どこから?」
「それがわかれば苦労しな……」
苦労しないさ。
そう言おうとしたところで、サイに手で制止される。
なにやら誰かと連絡を取っているようだ。
「フィート。その視線を送っていた誰かさん、捕まえたかも」
「うん?」
「まあ、行きましょ。場所は案内するからとりあえず地上にね」
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