6.スキルの習得

「スキルの説明をざっくりしちゃうとね、種族特性を強化する種族スキル、武器を強化する武器スキル、魔法を使えるようにするための魔法スキル。戦闘用のスキルはこの三つに分かれてるんだ」

「ほうほう。それで、俺はどうすればいいんだ?」

「まあまあ、焦らずに。まずはステータスを確認してみよう」

「わかった」


 俺はメニューを操作してステータス画面を表示させる。

 そこに書かれていた内容はこんな感じだ。


――――――――――――――――――――――――


名前:フィート

種族:鳥人

基本Lv:1   累積Lv.1

HP:25/25 MP:18/18


STR:4 VIT:6 AGI:10

DEX:9 MAG:3 MND:4


スキル:

種族特性:

該当なし

武器スキル:

【銃】Lv0 【短剣】Lv0

魔法スキル:

該当なし

特殊スキル:

【夜目】Lv-


SP:100


乗機:

なし


装備:

武器 :渡り鳥のライフル(ATK+8)・渡り鳥のナイフ(ATK+3)

頭  :渡り鳥のカウボーイハット(DEF+2・MDEF+1)

上半身:渡り鳥のカウボーイベスト(DEF+3・MDEF+3)

下半身:渡り鳥のジーンズ(DEF+3・MDEF+2)

腕  :渡り鳥のグローブ(DEF+1・MDEF+2・DEX+3)

足  :渡り鳥のブーツ(DEF+2・MDEF+3・AGI+2)

アクセサリー1:なし

アクセサリー2:なし

アクセサリー3:なし

アクセサリー4:なし


――――――――――――――――――――――――


 サイにも確認してもらい、配信に乗せてもかまわないかと聞かれたのでオーケーを出しておく。

 そして、俺のステータスを見たリスナーたちは……うん、まあ予想どおりの反応だったよ。


「さて、ステさらしも終わった訳だが、今度はどうすればいいんだ?」

「えっとね、スキル一覧にある種族特性タブを見てほしいの」

「これか? む、真ん中がまっすぐ上に伸びていて、そこから枝分かれするようになにかがでているな」

「その真ん中から伸びているのが根幹をなす『スキル』だよ。私たちはそれを強化していくことで、さまざまな恩恵を得られるの」

「へぇ。じゃあ、この枝葉は?」

「それは『アーツ』だね。スキルの中でもアクティブに発動させる必要があるもの……って説明でいいのかな?」


{サイちゃんは説明が苦手}

{でも大体あってる}

{スキル:普通の攻撃、アーツ:必殺技みたいな覚え方でもええんやで最初は}

{何はともあれスキルを鍛えてアーツを入手しないとな}


 コメントを読む限り、SPを割り振ってスキルを伸ばし、枝葉のところまで行ったらアーツを覚える感じなんだろうか。

 ものは試しだ、やってみよう。


「……おお、SPが減っていくけどツリーがどんどん染まっていくぞ」

「もう振り始めたんだ。どっちにしてもある程度は振ってもらう予定だったから問題ないけどね」

「そういえば初期SPが百になってたけど、SPシロップ四つじゃ六十しかないよな。残りの四十はどこから?」

「初期ステータスからだよ。とりあえず、種族特性レベル20まで行ったら止めてね」

「了解。……よし完了だ」

「オッケー。これでいくつかの種族特性を覚えられるはずなんだけど……」


 気がついたら『取得可能アーツ欄』という表示が出ていた。

 こちらにSPを割り振れば、種族特性のアーツを取得出来るのだろう。


「三種類覚えれるようになってたぞ」

「三種類って?」

「『ハイジャンプ』・『滑空』・『急降下』だな」

「その三つなら覚えて損はないね。ちゃっちゃと覚えちゃおう」

「わかった。……はい終了」


 これで俺の種族特性に『ハイジャンプ』『滑空』『急降下』が加わった。

 でも、すべてLv1表記なんだけど。


「ああ、覚えたばかりの種族特性はレベル1よ。SPを割り振ってスキルレベルを上げないと」

「スキルレベルを上げたらどうなるんだ?」

「えーっと、『ハイジャンプ』はより高くジャンプできる。『滑空』はより長い距離を滑り降りることができる。『急降下』はより長い距離を下りられるだったかしら」

「情報どうも。これは全部覚えてみた方がよさそうだな」


 俺は一気にすべてのスキルをレベル5まで引き上げた。

 すると、システムメッセージが表示される。


〈新たに二段ジャンプを取得可能になりました〉


 二段ジャンプか……ハイジャンプ中にもう一度だけハイジャンプができるスキルらしい。

 これの取得にはSP5が必要なようだけどいいや、この際だから覚えてしまう。


 これで種族特性を覚えるのにSP40消費、残りは60だな。


「アーツの取得は終わった?」

「ああ、終わった。あとおまけで『二段ジャンプ』って言うのも覚えた」

「……また微妙なものを」

「そうなのか?」

「結構使い勝手が難しいんだよ、それ」

「簡単お手軽スキルに思えたんだがなぁ……」

「使い方は自分で慣れていくしかないね。それでは、次に武器スキルを覚えよう」


 ついに武器スキルか。

 これを覚えないと、戦闘ができないからな。


「まず最初に割り振ってほしいのが【クリティカルヒット】スキルなの」

「【クリティカルヒット】スキル?」

「そう。このスキルを鍛えておかないと、クリティカルヒットが出てもダメージが低いのよ……」

「具体的にはどれくらいまで上げればいい?」

「近接武器なら十五なんだけど遠距離武器なら二十はほしいかな」

「二十ね、わかった」


 武器タブの中から【クリティカルヒット】スキルを探し出し、スキルポイントを20投入。

 効果を読む限りでは、クリティカルヒットが発生した場合のダメージ倍率は250%まで上がったようだ。


「【クリティカルヒット】はオッケー? じゃあ今度こそ武器スキルね。【銃】スキルを選んで最低でも二十ポイントは注ぎ込むこと」

「その心は?」

「遠距離武器って基本スキルのスキルレベルが20になって初めてダメージ倍率100%なのよ」

「……それは必須だな」

「ちなみに、スキルレベル0の状態だと倍率60%、レベル10で80%ね」

「って言うことは30まで上げると120%になったりするのか?」

「残念ながらマックスのレベル30まで上げても105%なのです。というわけでとりあえず20まで上げちゃって」


 言われるがままスキルポイントを注ぎ込み、スキルレベル20を到達する。

 さて、ここまでの強化で触れなかったアーツを見ておこう。


 まずはレベル1の時点で覚えられたアーツ『弾丸作成』。

 効果は銃を撃つために必要な消耗品『弾丸』を作ること。

 ……必須アーツなので確保する。

 リスナーさんにレベルどこまであげた方がいいのか聞いてみた。

 すると、レベル4と5で便利スキルを覚えられるから余裕があればそこまで上げるのを推奨だってさ。

 SP自体はまだあるしレベル5までしっかり上げたよ。


 次にレベル7で使えるようになったアーツ『イーグルアイ』。

 これは遠くのものを見渡すことができるアーツだ。

 使用することでレベル2でも二十メートル先を見ることができる。

 銃の有効射程が二十メートルなので、レベル2で保留

 レベル5が五十メートルだとしても攻撃する方法がないからな。


 三つ目がレベル15で解放されたアーツ『インパクトショット』。

 着弾すると激しい衝撃をまき散らす弾丸を発射する……と書かれていたが、これだけではさっぱりだった。

 でもリスナーさんがこのスキルのことを知っていて、強制ノックバックスキルだと判明。

 便利そうなのでこれも最大レベル5まで取得したよ。


 最後がレベル20でようやく覚えられるようになったアーツ『スリーショット』。

 対象に向けて弾丸を三発連続で発射するスキルらしい。

 要するに三点バーストだな。

 これも最大レベルまで取得しておく。


 さて、こんなところかな。


「あ、スキル取得終わった?」

「ああ、待たせたな」

「こっちはこっちでリスナーさんといろいろ雑談してたから問題ないよ」

「それで、次はどうするんだ?」

「正式ルートだと初心者の館でチュートリアルなんだけど……どうせなら狩りに行こう狩りに! 大丈夫、私がサポートしてあげるから」


{大丈夫(不安)}

{大丈夫(助けるとは言ってない)}

{チュートリアルすっ飛ばしてフィールドつれてこうとするとか鬼の所業}

{一時間くらい自由時間を与えて基本を覚えてもらおう、ね?}


「一時間とか私が我慢できないよ! 大丈夫、危なくなったら私がしっかり支援するから!」

「……不安しかないがよろしく頼むぞ?」

「任された! じゃあ北はつまんないから東に行こう!」


{この女、チュートリアルフィールドもすっぽかす気満々である}

{なんだろう、彼氏と聞いて最初は裏山な気分だったのだがいまは同情しかない}

{俺もだ。彼氏さん、強く生きろ}

{サイちゃんは嫌いになっても、レイメントは嫌いにならないでください}


 ……このコメント具合からして、決して楽な場所じゃないんだろうな。

 サイよ、俺は一応初心者なんだぞ?

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