第27話 スマホに興味を持つエルフ

前回までのあらすじ


<浄化のトーチを設置していたらすんごい強い魔物が大量出現。

 澪亜の聖魔法を使い、見事に撃退した>


―――――――――――



 ララマリア神殿から一キロの地点で交戦していた澪亜たちは強力な魔物を撃退し、浄化のトーチを設置しながら森の奥へと進んだ。


(新しく覚えたスキルのおかげだね)


『聖魔法〈聖女の旋律〉――武器に対魔物特攻を付与する。魔物に対して攻撃力10倍』


 大人数を指揮する際に有用なバフであった。


 攻撃力十倍はチートレベルの付与魔法である。世界に一人しか存在しない聖女ならではの魔法であった。


(レベルアップもしていたみたいだね。確認してみよう――鑑定)


 目の前に半透明のステータスボードが現れた。


――――――――――――――――――

平等院澪亜

 ◯職業:聖女

  レベル75

  体力/1900(+300)

  魔力/7500(+3200)

  知力/7500(+3200)

  幸運/7500(+5200)

  魅力/9200(+8900)

 ◯一般スキル

 〈楽器演奏〉ピアノ・ヴァイオリン

 〈料理〉和食・洋食

 〈礼儀〉貴族作法・茶道・華道・習字

 〈演技〉役者

 ◯聖女スキル

 〈聖魔法〉

  聖水作成――聖水操作

  治癒――遠隔治癒

  結界――連続結界・魔術結界・物理結界・瘴気結界

  保護――(ウサちゃん・剣士ゼファー・弓士フォルテ・鍛冶師シュミット・ドワーフ族十九名・冒険者百名を保護中)

  浄化――浄化音符/運搬係(トルコ行進曲)・お掃除隊(水上の音楽)・三叉の矛(運命)・音符剣(剣の舞)

  聖女の旋律new!

 〈癒やしの波動〉

 〈癒やしの微笑み〉

 〈癒やしの眼差し〉

 〈芸術家の被写体〉

 〈上級鑑定〉

 〈完全言語理解〉

 〈アイテムボックス〉

 〈オーバーテイム〉

 〈危機回避〉

 〈邪悪探知〉

 〈絶対領域〉

 〈魔物探知〉

 〈幸運の二重演奏〉

 ◯加護

 〈ララマリア神殿の加護〉

 ◯装備品

  聖女の聖衣

  ライヒニックの聖杖

  ライヒニックのスカート

  ライヒニックの白タイツ

  ライヒニックの空靴

  鑑定阻害の指輪

――――――――――――――――――


(レベルが4もプラスになってる……。聖魔法の欄に“聖女の旋律”が追加されてるね。この魔法はいつでも使えるようにしておいたほうがよさそうだよね)


 集団戦闘において、かなりの効果を発揮する聖魔法だ。


 ただ、毎回ピアノを出すのは大変であった。


 アイテムボックスにしまったのでいつでも取り出せるが、設置するのに面積を取るのが厄介だ。仮に魔物と大混戦になったら、コンパクトな楽器のほうが使いやすいだろう。


(これはヴァイオリンも練習しておいたほうがいいかもね。日課に入れようかな……)


 澪亜はピアノの他にヴァイオリンも弾ける。


 気晴らしに演奏する程度であったが、これを機に何曲かマスターしておくのはいいかもしれない。


 そんなことをつらつらと考えているうちにも、浄化のトーチは設置されていく。


 高レベルの魔物が散発的に襲ってきたが、ゼファーとフォルテが一掃し、冒険者たちが持ち前の連携力で難なく退治してくれた。


「五キロ進んだな。よし、今日のところはこの辺でしまいにしておくぞ」


 ドワーフのシュミットが野太い声で号令をかけると、皆が返事をして武器や道具をアイテムボックスへとしまう。


 ドワーフたちは進んできた方角に間違いがないか地図を見て確認し、冒険者たちは魔物から回収した魔石やドロップアイテムを楽しそうに分配している。ゼファーとフォルテもその輪に加わっていた。


 澪亜はふうと息を吐き、自分たちの作った道を振り返った。


 さすがドワーフと言えるだろうか。


 浄化のトーチが一直線に設置されており、澪亜の込めた浄化魔法によって結界が作動している。特殊な製法で作られたトーチは半永久的にその機能を発揮するそうだ。


(淡い光のトンネルみたい……)


 半円球の結界が連続して続いている姿は、現代ではお目にかかれない不思議な光景であった。これが祖母鞠江の言っていた、撮れ高というやつかもしれない。


(おばあさまは異世界の美しい映像がほしいって言ってたね)


 澪亜はアイテムボックスからスマホを取り出して、写真アプリを起動した。

 ちひろに教えてもらった、ナチュナル盛りができる若者に人気のアプリである。


「うーん……こんな感じでしょうかね?」


 起動したアプリの画面を見ながら画角を整えていると、ちょうど画面の真ん中にウサちゃんがぴょんとやってきた。幻想的な結界の通路と可愛いウサちゃんが絶妙にマッチしている。澪亜は迷わずシャッターボタンを押した。


 カシャリ、と音が鳴る。


「きゅう」


 ウサちゃんが、うまく撮れたかな、と言ってこちらにやってきた。


「まあ。慣れているんですか?」

「きゅっきゅう」

「ふむふむ、おばあさまに何回も撮られたんですか。なるほど、そういうことですね」


 胸に飛び込んできたウサちゃんを受け止め、もふもふと撫でると、フォルテが横から顔を出した。


「レイア、それ何?」


 フォルテが長い耳をぴくりと動かし、スマホの画面を覗き込んでくる。


「これはスマホと呼ばれる通信機器です。電話をしたり、写真を撮ったり、文章のやり取りなどができるんですよ」

「すっごい便利じゃない! 私にも使えるかしら?」

「異世界は電波がないですから使えないですね。残念ですけれど……」


(フォルテとメッセージのやり取りができたら楽しそうなのに……)


 残念に思い、澪亜は曖昧な笑みを浮かべた。


「使えないのにレイアは何をしていたの? 聞き慣れない音がしたけど」


 どうやらフォルテは音に引かれて話しかけてきたようだ。エルフ族は聴覚が優れている。


「あ、それはですね、写真の機能があるんですよ。ほら、見てください」


 先ほど撮った写真を見せる。

 浄化のトーチによってできた通路とウサちゃんが見事に映っていた。


「えっ?! こんな小さい道具で写真魔道具みたいなことができるの?! すごーい」


 フォルテがしげしげとスマホを眺め、何か思いついたのかレイアの隣に来てぴたりと肩をくっつけた。


「ね、ね、私たちを撮りましょうよ。それだけ小さいならできそうじゃない?」

「自撮りですね。いいですよ」


 スマホを買った翌日、ちひろと何度も撮っている。


 澪亜はスマホを片手で持ってインカメラに切り替え、フォルテに顔を寄せてシャッター切った。


 カシャリと音が鳴ると、フォルテの長い耳がぴくりと動いて澪亜の頬に少し当たった。


「見せて見せて!」


 フォルテが嬉しそうに言ってくるので澪亜も楽しくなってきて、癒やしの波動を出しながらスマホの画面を切り替えた。







―――――――――――――――

読者皆様へ


本作をご愛読いただき誠にありがとうございます。作者でございます。


かなり期間が空いてしまいましたが、

区切りのいい第2章の終わりまで一週間ごとに更新いたします・・・!


本作のコミカライズがスタートしているので、

そちらの更新と合わせていく方針です(*^^*)


澪亜とウサちゃんを漫画で読みたい方はこちらから読めます〜。

これは・・・癒やしの波動・・・!

ということで、お時間があればぜひ覗いてみてくださいませ。


  ↓↓↓↓↓↓↓


パルシィ

https://palcy.jp/comics/1817


ピクシブコミック

https://comic.pixiv.net/works/8677



重ねてにはなりますが、

期間が空いてしまい申し訳ありませんでした。

引き続き本作をお楽しみいただければ幸いでございます。

よろしくお願い申し上げますm(_ _)m


作者より

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