第36話 交渉という名の恫喝……と爆弾宣言
女帝との謁見の場には、女王をはじめとした王家一族と国のトップたちが居並んでいたのだが、おれたち側から謁見を許されたのは、おれ自身とおれの秘書の二人だけである。
目の前の女王の横には十二名の王女が居並んでいる。上は三十路、最年少は十歳である。
彼女らにとっては目の前のおれは、いまだかつて見たこともない『獲物』、いやイケメン男子である。
興味津々、今にも取って食われそうな勢いがダダ漏れなんだが…… 女王、王女といえども所詮は『肉食系女』だ。
それでも、品格を重んじてか表情には出さないように努力はしてるみたいだけどね……
謁見の場で言われたことは、わかっていたことだけれど、早い話が『恫喝』である。
要は『金は腐るほどやるから、種馬として王宮に住め』である。
おれの後ろにいたドーラさんとシータさん…… 殺気をださんといて……
おれには、学園で高校教師として楽しく生活するという『崇高』な目的、いや『人生設計』があるのだ。邪魔はさせない。
国の宰相らしき女性が王家としておれに提示した内容は要約すると次のとおり。
一 王女のいずれかの王配となり王宮に住み王宮務めをせよ
一 魔術言語に関する知識を国家のみに提供すること
一 今後の『ユウ』本人の活動についてはすべて国が管理する
一 上記について国はユウ個人に対価を支払う
あまりにも予想通り過ぎて笑えるぜ……
後ろの二人が今にも爆発しそうなので、おれははっきりと言ってやった。
「恐れ入りますが、全て拒否させていただきます」
「「「!!!何!!!???」」」
「国家反逆罪で捕縛してもいいんだぞ!」
おやまあ、宰相ともあろうお方が、早速逆切れーゼですか……
「なんといわれましてもわたしは一介の『高校教師』にしか過ぎません。教職を退く意思は全くありません」
「な、ならば王都で教職につけばよかろう!」
「すでにわたしの生徒たちをほおってカルム学園を出ていくことはできません」
「国家に逆らってでもか!」
「一方的な恫喝を行っていて何をおっしゃいますか」
「ぬ…… だが、王家に名を連ね、報酬は思いのままなのだぞ!何が不満だというのか!」
「籠の鳥の生活?お金?種馬じゃあありませんよ、わたしは…… そんな生活にはなんのメリットもありませんよ」
「き、貴様…… 王家を愚弄するか!」
一方的に人権無視しやがって何をほざきやがりますか……
女王が口を開く。
「なにを対価として与えればわれらの要求をのめるのか?……」
「対価とは所詮お金でしょう? そんなものは遠慮しておきます。今いただいている給与で十分すぎるほどでございますゆえ……」
「お金、女、権力、アーティファクトの無制限使用、なんでも望むままだぞ」
「別段、困っておりません。それらは他の方に提供してやってくださいませ」
「むう…… 国として強権を発動することは避けたいのであるがの……」
ここでおれの『切り札』をチラ見させてやるか……
「とはいえ、わたしもこの国に所属する一市民、国家に協力することはやぶさかではありません」
「続けよ……」
「国として今後のわたしの行動について『不干渉』をお約束いただけるなら、その対価としてわたしの持つある『情報』を提供いたしましょう。もちろん正式文書として契約していただきます」
「何を提供できるというのだ? 魔術言語の秘密程度では……」
魔術言語の秘密程度と来たよ、このBBA~
「『男女の産み分けの方法』ですよ」
「な! なんと! …… 子供を…… 男を生む方法があるというのか!」
おれの持つ『男女の産み分け方法』に関する内容は絶対なものではないが、確実に男を生む確率を上げる方法である。前世での統計的には確立されている方法だ。
「信じられないというならそれでも結構です」
「もし、それが、真実ならば……」
いやいや、あんたの相手はごめんだよ…… 女王様……
秘書二人、殺気は消えたんだが別の意味でおれに視線突き刺さってる……気がする……
事が事で重大な問題を抱えているため、交渉は別途行うことになった。
とりあえず今夜は王宮での晩さん会に招待された。
王女様たちとお貴族様方のお相手をしますか…… ああめんどくせえ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます