第29話 歓迎会、八回目、九回目、十回目は連荘で……




 残り三回の歓迎会=飲み会=お見合いコンパ は、三日連続で行われた。

 ただし今回はテレビ局の極秘撮影はなし。

 それに市内へ出ることも禁止された。


 そりゃあねえ 、あんだけニュースで有名になればおいそれと同じことをやってたら大変です


 それにしても七回目の三十人はお得だったよな、お互いに……


 『脚フェチ』のおれとしては『脚美人』であり、もちろん普通の意味での美人さん三十人と合法的にデートできる。さらには王都へと一人ご招待だ。

 その中から一人くらい恋人候補ができたっていいだろって話だ。


 恋人じゃなくてもいい関係の『お友達』くらい欲しいです、はい。できればミニスカ、ミニスカにニーハイですよ……


 考えようによってはずいぶん失礼な話ではあるけどね。お礼にとは言っても抽選でレベルが決まったってのは、逆の意味では誰でもいいやって言う話なわけで、前世に同じことやってたら間違いなく総スカンだろう。


 でもこの世界じゃまかり通るんだな、これが……

 それも十分感謝されてだ。


 禁欲生活みたいなのも、もう少し時間をかけて相手を決めればおのずと解消されるのはわかっているのである。焦ることもない。


 せっかく王宮からのご招待もあることだし、王女さまたちともお知り合いになってからでも遅くはない。


 でもおれは『高校教師』という立場だけは絶対に手放さないぜ。


 八回目の宴会の前振りは、校長宅で『レクリエーション』だ。


 ドッジボールやったり、二人三脚で肩を並べて競争したり、フォークダンスまでやったさ…… もちろん三十人全員と一対一で。


 その後、希望に応じて、『マッサージ』『お姫様抱っこ』『散歩の後の抱擁ごっこ』を種目?選択してもらった。


 実に好評だったのだが、やっぱり「ありがとう」と涙を流して感謝された。


 おれの方こそ、ありがとうだよ。いい目をみさせてもらってるって、絶対。


 ただ、まあ…… 三百人から数人選べって言われても今は無理だよねって話だ。

 これが三十人だけの中から一人二人選べって言われたら可能かもだったけどね。

 

 今はとにかく保留だ。

 



 後の話になるが、『チークダンス』『寝るだけの添い寝│(えっちなことは不可)』『混浴』『マッサージ』『お姫様抱っこ』『散歩の後の抱擁ごっこ』などは、学園内職員の報奨として与えられる『権利』として正式に学園に認証された。

 何かの機会に表彰される職員に別途副賞として授与されるというわけである。

 おれの意思はどこいった? であるが拒否権はない、と言われた。この学園に在籍する限りはついて回るらしい。

 おれ自身ワクワクできるからいいけどね……



 これのせいかどうかは知らんが、ずいぶんと職員のモチベーションが上がったとは聞いた。彼女たちにすれば夢よもう一度なわけで、体験しそびれた美人さんには初体験のご褒美です。


 




 さて、九回目の宴会である。


 基本的には八回目のメンバーと行った宴会とその前振りの内容は、ほぼ同じだった。


 ただ今回のメンバーからは、生徒だけではなく『職員相談室』(ユウ専用)の設置を希望された。

 もちろん、悩みごとのある職員もいたのだろうけど、じっくりと相談室でおれと話をする『優先権』が欲しいとのことだった。


 まあ七回目の宴会では、あんなに大サービスのプレゼントをしたんで今回の要望は受け入れた。 逆セクハラは無しですよ?って言ったらみんな笑ってたけどね。


 後で校長に報告しとかなきゃ……






 そして最後の十回目。


 校長も交えての宴会となった。


 これが終わると帝都へとしばらく行くことになるおれの『送別会』のようなある意味壮絶な宴会となってしまったわ。


「どうぢて、びんなヴぉおいででいとにいっでじまうんでずかあ!」



 泣きながらしゃべるなあ! 何言ってるかわからんだろ!

 おれの服が、涙と鼻水で…… 抱き着くなら顔拭いてからにしてくれ……

 みんながみんなこんな調子で泣きぼろめいているのである。おまいらは酒乱か……



 せっかくの美人さんが台無しだよって言ったら、ぴたりと泣き止んだ。


 へ!ちょろいぜ……






 それに一週間もすりゃあ戻ってくるんだし……


「だって、だって…… そのまま王都に移り住むって言われたら……困ります……」


 みんなもそう思っているようだった。



「心配するな。ユウ先生のことは、わしがなんとしても帰ってこさせる。たとえ相手が国王でもわしは許さん。最悪の場合はわしが連れ戻す!」



 エルフ校長、かっこいい! って酔っぱらってるんかあんた…… 目が座ってるぜ……





 合計十回にも及ぶ宴会続きだったんだが、それぞれ参加した美人さんたちへの接し方やプレゼント交換などで、いろいろ差がついたみたいでちょっと気にはなっていた。


 でもそれは心配する必要はないと皆に言われた。


 各グループがそれぞれ納得してやったことだし、他グループのことをうらやましく思うこともあるけれど、それは自分たちの企画力の問題だったのだから、恨むことはないそうである。

 本当におれにやってもらいたいことがあるのなら、今度は個人で体当たりでいくそうである。


 うっ! なんだか怖い…… 



 やっと大宴会デイも終わった…… 終わったぜ……


 おれはこれがほんの序章に過ぎないことを、王都へ行くまで知らなかったよ……


 知らなければ平和だったんだ、とっても……


 

 さあ、王都へ出発だ。

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