第28話 ミス・学園 選抜大会…… 生徒会会議の方針?






~王都国営放送・社長室~


「くくくっ! いや~うまくいったな! あそこまで視聴率叩き出してくれるとは思わなかったぞ」


「わたくしも想像以上でした。社長のお嬢さま様様です。今回ばかりは……」


「娘のエメロードのおかげで、情報が他よりも早かったしな。きんきゅうで予算なんぞ地方局など無理だろうよ」


「お嬢様からの連絡はその後はいかがですか?」


 王都国営放送の社長室での社長(♀)と担当ディレクター(♀)の会話である。


「うむ、それでな、ユウというあの新米教師と職員の歓迎会はまだ数回残っておるそうだがな、それより、職員だけとの交流は許せんと生徒会が校長に直談判したらしい」


「ということは……」


「そうだ、歓迎会は生徒にもやらせろとな」


「しかし、あそこはマンモス高でおいそれと全校生徒とあの新米教師だけでは、歓迎会などできないでしょう」


「それがな、急きょ生徒会で『ミス・学園』のイベントを立ち上げたそうだ。そこに選ばれた三十人と新米教師が交流会といった企画らしい」


「なるほど…… イケメン教師と交流会に参加したければ、競争を勝ち抜いて権利をゲットしろと……」


「まああのイケメンですからね…… この国始まって以来でしょう。わたしも見たことがありません」


「わたしも今回のニュース特集で見せてもらっただけだがな、ありゃあ売れるぞ…… 王室からの招待状もすでに受け取っているらしい。近々王都へとくるらしいぞ」


「そりゃまた…… 我が局で独占させていただきたいですな……」


「もちろん抜かりはない。お前もそのつもりで動け! 予算は天井知らずだ。他の手合いに引っこ抜かれる前に囲んでしまうぞ」


「わかりました」






~学園・生徒会室~



「今日の議題は皆さんご承知のことと思いますが、ユウ先生との交流会参加者決定のための『ミス・学園』開催の件です。


「会長、聞くところによるとまだ三回ほど職員との歓迎会があると聞いてますが……」


「それが終了するこの数日間が勝負です。一気に大会を盛り上げて交流会に突撃です」




 生徒会会長、副会長をはじめとした生徒会役員総勢二十名(当然すべて♀)による会議の真っ最中である。




「各クラスから予備選考で二名ずつ出すようにしましょう。各学年十二クラス、総勢百二十人が二次予選へと進めますが、各クラス代表の選出は各クラスに任せることでいいでしょうか?」


「戦争になりませんかね…… だれが選ばれても恨まれること確実です。第一投票とかになれば誰だって自分に投票するでしょう……」


「そうか……それもそうだな…… いっそくじ引きでは……」


「それだと『ミス・学園』の意味が無くなってしまいます」


「それに各クラスからの選出は公平に見えますが、純粋に全校生徒の中から選んだとは言い難くなりませんか?」


「では一人一票でとにかく全校生徒対象に誰でもいいから投票ということではだめか?」


「いえ、結局は自分に入れますからおそらくほとんど差が出なくなって実質的な三十人選出は不可能と思われます」


「どうすればいいんだ……」


「やっぱり『ミス・学園』の選出ではなく、そんな名目のない平等なただの抽選でいいんじゃないでしょうか…… その方が平等に権利があると言えます」


「せっかくの機会に盛り上げたかったんだが…… 」


「いえ、盛り上がりますよ。抽選方法次第です」


「抽選の方法に劇的な要素を加味しろってことだな?」


「そうです、会長」


「わかった…… 会長、副会長の二人、それに書記長の四人でたたき台を今日中に作る。明日もう一度全体会議だ」


「「「了解しました」」」


 以外にも良案と思われた『ミス・学園』選抜は暗礁に乗り上げ、抽選会へと方針変更されることとなった。







~校長室~



「ニュース番組の件は、事後承諾ですまんかったの」


「いえ、それなりのものはいただきましたし、学園のいい宣伝となったようで『広告塔』としての仕事はできたかと……」



「そう言ってもらえるとありがたい」


「ありがとうございます」



「…… ところでの、わしにもその……お姫さ(ごにょごにょ……)とデート(ごにゅごにょ……)、あと色々…… 」



 校長も女ですな……


「なんか失礼なことを……」


「とんでもない! わたしでよろしければいつでも…… いつでもとはいきませんが、折をみて……」


「そ、そうか…… ここでできることは今やってもらってもよいぞ?」


 いやあ…… ロり校長がかわいく見えたのは今が初めてかもしれないな……


「では失礼して…… お姫様抱っこでよろしいですか?」


「あわわわっ! ふい~!!」


 変な声出さんでくれよ、校長先生…… 警備の者が飛んでくるだろうが!


 ロり校長、軽い軽い! それに抱っこするととても五百歳とは思えないいい匂い……

 それにエルフ特有の長い耳もつんつん当たって気持ちがいい。


 たっぷりと五分は抱きつかれました…… 


 校長もよく見ればいい女なんだよな…… 年齢だけがネックなわけで…… それもエルフだと思えばどうってことはないんだけどね。


 エルフって寿命何歳くらいなのかな…… だれかにこっそりと聞いておくしかないな……


「あと三回宴会が予定されておるが、最後までよろしく頼む。これを残すと」「暴動ですね」


「少なくとも残り九十人は『ストライキ』じゃな」


「これも仕事のうちです。頑張ります」


「うむ、終わったらわしでよければたっぷりと抱かせてやってもよいぞ?……」


 

 真っ赤になってうつむきながら小声のロり校長……かわええのお……って、おれはロリコンじゃないんだが……


 返事は『保留』です、はい……


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