第16話 宴会はエンドレス……
宴会第三弾は、泊まった宿の近くの砂浜へと総勢六十人でバーベキュー大会となった。
第二回目の参加者はずいぶんお得かなと思ったが、第二回目参加者はお昼のバーベキューが終わると解散であるらしい。
名残惜しそうにしてはいたが、また学園で会えるとわかっているので、我慢してご帰宅だ。
第三回目の宴会はそのまま海岸でバーベキューの後、海水浴を楽しみ、そして夕食を海岸でそのまま続行である。よくもまあ、おれの体力が持つもんだと我ながら感心した。
それよりもさ、海岸で水着……それも美女のオンパレで、それぞれがすんばらしいスタイルを披露してくれたんだけど、見てるだけしかできないおれってなんなんですかね……
誰か助けてもらえるなら助けてほしい……
そんな水着美女たちとやっぱり海で砂浜でいちゃいちゃしたいじゃん…… そんなささやかな願いもかなえられないおれは、なんでここにいるのでしょうか……
あこがれでしょ? 隣の彼女の背中にサンオイル塗ってあげたり……
「ユウ先生、サンオイル塗って~」
「ずる~い! わたしも~」
やりましたとも、ええ、やらせていただきましたよ、六十人に公平にサンオイルを背中に塗らせていただきましたとも……
途中で三十人は帰ってんですけどね。
さて夕食はいいんだけど、海岸で寝床はどうするんかい?と思っていたら、りっぱなテントが海岸に設置されていました、いつの間にか……
ああ、今日は海岸でキャンピングナイトってやつですか…… いいでしょう、なんでも来いですよ。
「ユウ先生、今日は一緒に寝れるね!」
く~っ! なんていう天国……いや地獄、いやもう拷問ですわ……これ……
おれが安眠できる日まであと一週間…… はあ……
「うれしいでしょ?先生。 美女に囲まれて添い寝付きで」
「うれしくないはずはないです」
「何?その棒読みなセリフ…… もっと喜びを身体で表現しないと、ね?」
そうです。笑顔は大事です。社会人の基本です。
彼女たちにとっては一生に一度の思い出作りなのです。
「ユウ先生、今日のわたしの水着見てもらえた? 今日のためにとっておきの水着用意してきたんだよ?」
そうなんだよね、男性に水着姿を見てもらえるなんて、この世界じゃあたりまえのことじゃないんだよね……
前世でも女性が男性に見られる、注目されることでどんどんきれいになっていくっていうのはある意味常識みたいなもんだったんだ。
この世界ではそれがもっともっと強烈に作用しているかもしれない。
今日水着姿で、その姿をおれに注目されていた彼女らは皆が皆、何となくさらにきれいになったような気がした。
「みんなきれいだったよ、まぶしすぎてぼくは見ていられなかった……」
「本当?うれしい! 水着姿なんて男性に見てもらえることなんて一生ないと思ってた。そんでもって褒めてもらえるなんて……」
おれはこの数日間で、この世界の女性がほんとかわいそうに思えてきた。彼女らは美女ばかりだ。そんな彼女たちは異性と付き合うこともなく、話をする機会さえまれ。一生結婚できずに終わる人が圧倒的に多いのだ。
おれに何かできることはないんだろうか…… 傲慢な考えかもしれないが、何か彼女たちのためにおれにできることはないかと、頭の片隅で考えるようになったのは事実である。
「先生?」
「ああ、ごめん……ちょっと考え事してた……」
「そう…… 楽しんでる?先生。 せっかくの一日、いえ一晩思い切り楽しまなきゃね、先生」
「そうだね、その通りだよ……」
おれは夕食が終わると、日中おれの目を楽しませてくれたお礼にと、三十人全員と今晩少しずつの時間とはいえ、添い寝することを提案した。もちろん希望者だけだったんだけど、確認してみたら全員が喜んでくれた。
実際のところ雑魚寝はできると踏んでいた彼女たちは、まさか添い寝をしてもらえるとは思っていなかったらしく、それぞれの持ち時間約十五分間は夢の世界だったらしい。
三十人が三十人、添い寝をしている間、感謝の言葉とほおを濡らす涙でぐちゃぐちゃだった。
「一生の思い出」「もう死んでもいい」「今日の思い出だけで一生生きていける」「明日からもっともっと仕事も人生も頑張れる」などなど……
もちろん添い寝だけで、間違いは一件もなかったし、変なセクハラまがいのお触りもなかった。
でもたった十五分の間、彼女らはおれにしがみついて離れなかった。おれはもちろん理性のタガを外さないように頑張ったけどね。
おれは今夜の自分を褒めてあげたい、そんな気分でした。おかげで一晩やっぱり眠れませんでした……
週明けで添い寝の話が他のグループにばれて大変だったのは言うまでもない。
これどうやって収拾するんだよ、自分……
さあ、今度は週明けで第四グループとまたまた宴会だな……
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