第112話伊勢の海人の 朝な夕なに かづくてふ
よみびとしらず
伊勢の海人の 朝な夕なに かづくてふ みるめに人を あくよしもがな
(巻第十四恋歌四683)
※朝な夕な:朝と夕に。
※かづく:海に潜ること。
※てふ:「といふ」が縮まった言葉。
※みるめ:「海松布(海底に生える海藻)」と「見る目」の掛詞。
※あく:満足する。
伊勢の海人が毎日、朝と夕に潜って採ると言われる海松布のように、私もこれで満足するというほどに逢える手段があればいいのに、と思うのです。
尚、この歌は万葉集
伊勢の海人の 朝な夕なに 潜くといふ あわびの貝の 片思ひにして
(巻11-2798)
と近い関係があるとされている。
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