第5話 ばいばい、小さな罪

 ケンは家に戻ると片付けを再開した。使っている自分を想像するといいと教わった。ケンの想像の中で思い出のアルバムたちと踊りだす。アルバムは捨てない、思い出は大切だ。片付かない部屋の夜は過ぎていく。



 〇〇〇〇〇〇


 先生へ

 お久しぶりですね。肌寒くなってきましたがお元気ですか?あいかわらず手紙の挨拶が苦手です。

 いつかのお手紙で『サヨナラ、小さな罪』というマンガの話をしたのを覚えていますか?当時の私の好きだったマンガや絵を先生に送りつけて困らせていたんじゃないかと今になると思います。そのマンガを読み返したのですが、アルバムをみながら思い出とケンが踊るシーンで私は先生のことを思い出しました。(あの後ケンは思い出にひたって片付けが中途半端になりました。私と一緒)小学校のアルバムを引っ張り出して思い出と踊りました。先生の手紙が入った缶を開けて、一つ一つを読んでいるうちに懐かしくてお手紙を書こうと思いました。あの頃先生がよく言っていた『あいさつ』をなんとか頑張っています。明るくいつもさわやかに続けて。さわやかさはなくなる年頃になってきましたが。

 今だからいえるのですが、先生に謝らなくてはいけないことがあります。実は先生へ手紙をかくのは大変でした。話す内容が思いつかなくて絵ばかりかいていました。先生も褒めてくれるので楽しかったんですよ。でもどうしても文章が苦手で、すいません先生、ずっと謝りたかったです。

 さつき

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