第4話 サンキュ、小さな罪

 ケンとツミ



「けんちゃんの思いどおりになると思わないで」



 山本に言われた言葉でハッとした。ケンは高校に入ってからいかに自分がバカだったか思い知った。バカばっかりの高校だったが、バカなりに社会で働きやすいよう教えてくれる先生が多かった。今までの小さな罪を先生に話したらその先生は大笑いした。


「お前、俺なんて人殴ってたし病院送りにしてたからなあ」


「うわ不良」


「傷害罪、俺もあんまり法律なんざ詳しくないけど捕まった先輩もいる。線路も石なんておいて事故ったら親が責任負うんだ。夜の学校も不法侵入、怒られただろ?」


「まあ、でも逃げ足速かったし」


「大人になったら逃げられない状況になるし、そもそも守ってもらえなくなる。ほどほどに勉強しろよ」


「ふーん、なんで先生はいつもほどほどにっていうの?」 


「なんでもやりすぎはよくない」



 先生との会話を思い出しながら、ケンは山本に謝る。


「あの頃いろんなことして遊んでた、つもりだったけど、もしかしたら全部大きな事件になるかもしれなかった」


「どしたの?」


「それに巻き込んでごめんなって、勝手にお前も同じだと思って」


「同じだったよ、けんちゃんが止まらないのなんて分かってたもん、だから僕も同じ。みんな悪ガキだよ」


「お前と先生のおかげだなって思うんだ、今の俺があるの」


「変わったねけんちゃん」


「変わんねーよ、バカだし」



 ケンは一人暮らししているという山本に片付け方と部屋探しの方法を聞いた。

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