第3話 オヤスミ、小さな罪

 ケンとケンカ



 全然終わらない片付けの途中、昔よく遊んでいたスーファミのカセットが発掘される。


「あ、これ山本のだ」


 中学の頃山本とケンカをしてしまい、そのまま別の高校になってしまった。ケンは山本に電話をかけた。


「どしたの、てか番号知ってたんだ」


「いや、松くんに聞いた。お前からずっと借りてたカセット返そうかと思って」


「…あ!思い出した!いいよ別に、」


「…本当にあの時はごめんな」


「気にしてないよ、それよりせっかくだし会わない?忙しい?」



 昨日は段ボールとものをいったんどかして布団を無理やりしいて寝た。ふかふかだったが。ケンは遊びに出かけることにした。息抜きも大事だ。


 駅前で久しぶりに見る山本はかなりイケメンになっていた。


「けんちゃんだー!うわ懐かしい」


「やめろよ、やまもっちゃん!」


「それ今でも言われる」



 お互いの近況を話ながらゲーセンにつく。テキトーに遊ぶ。飯を食いながらケンはもう一度謝った。


「いいよ、子どもだったんだし」


「いや、うんまあ、でもな」



 小中と悪ガキだったケンは小さな事件をいくつも起こしている。夜の学校にいったり線路を歩いたり。山本とは親友だったが、一緒にいかがわしいお店に入ろう、入らないともめてるうちに、山本がキレた。



「けんちゃんはいつもそう!無理やり」


「なんだよ、お前だっていつもくっついてきただろ!」


「話しても無理やり引っ張ってたじゃないか!わかった、もう行かないよ。1人で行きなよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る