第2話 サヨナラ、小さな罪

 ケンとゴミ



「この部屋を片付けない限り、一人暮らしなんてさせないし、できないよ」


 ケンは母にそう言われた。ずっと一人暮らしをしたくて部屋探しやら貯金やらをし、仕事にも真面目に取り組んだ。今日から遅めの夏休み休暇として3日間仕事が休み。残暑の残る中、窓を開け放ち布団を干した。外は細切れの雲が増え出したが今年はまだ暑い。天気もいいし、外に出て友だちの松くんと遊びに行きたいな、と邪念が頭がよぎる。頬を叩き気合いを入れ直すケン。


「これを、こうして!こう!」


 棚にあるものと机の上のものを床にぶちまけた。いろんなものが入り乱れる。その後に下の階からゴミ袋と段ボールを3箱用意する。


「よっしゃ、やるぞ!」


 一人暮らしして、好きなことを好きな時間に誰にも邪魔されずにやるのが夢だった。好きなことというのもゲームやギター、工作に釣り、マンガやアニメなど多趣味でケンの部屋はカオス状態。それを今仕分ける。袋に明らかなゴミを入れていく。いるもの、保留、絶対引っ越し先に持っていくものの3つ箱を分けた。


 脳内でゴミとそうでないものたちが凶暴化していく。



「おいお前!なんで俺がいらないんだよ!!」


「うるさい、新しいの買うんだよ」


「じゃあそっちのやつはなんで捨てないんだ?」



 目に飛び込んできたのは机のすき間からギターのピック。懐かしいが捨ててもいいほどに汚れている。いやダメだ、捨てない。ああマイナスドライバーお前3本目じゃねえか。

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