第59話 それアウトちゃいます?

俺は部屋に入ると片付ける場所があるか見渡す。

引っ越して1週間ほどしか経ってないので、片付けが苦手な俺でもあまり汚くなるはずもない。

また足はこんなんだが、夏帆が毎日生活を手伝ってくれていたので片付けまで手伝ってくれていたのもある。

そして俺の部屋だがそういう本はない。

俺は本より動画派である。

なのでベット下を見られても安心安全だ。


「大丈夫だ、入っていいぞ」

「う、うん……」

「まぁ適当に座ってくれ」


俺はイスに置いていたクッションを菜月に渡す。

クッションを受けとる菜月の動きはどこかぎこちない。

ロボットのような挙動不審な行動である。

昔のマイペースさはどこにいったのだろうか?

そこで俺は菜月の顔が紅潮していることに気がついた。


「暑かったか?気付かなくてごめんな」


俺はエアコンの電源を入れた。

菜月がジト目で見つめてくる。

なぜだ?


「まぁいいか……。じゃあ晋也!スマブラトゥーン3やろ!」


菜月はなぜかベットに腰かける。

さすがにそれは動揺する。

触れられるのは家族なら当たり前という感覚でいられるが、ベットに座られるのは男女を意識せざるを得ない。

決してそういう展開にならないことは分かっているものの、ベットというのは大変デリケートな場所なのだ。


「菜月、ベットは汚いしやめとけって」

「えー、だって眠いし。てか寝るね」

「は?」


菜月は躊躇なくベットに倒れこんだ。

しっかり毛布まで被る徹底ぶりだ。

俺はこの状況についていけない。

俺と菜月の関係性を言い表すならば、おそらく幼馴染みにあたる。

世の中の幼馴染みは相手のベットで寝るのは普通なのだろうか?

そう考えていると、下の玄関の扉が開いた気がした。

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