第42話 部長と副部長

紺野さんとのお出掛けが決まった日、俺は部長に謹慎を命じられた。

さすがに練習は出来ないが、部活には出たほうが良いだろうという判断をしていたのだが、部長はそれ以上に早く復帰して欲しいらしい。

それだけ期待して貰っていることが嬉しくにやけてしまう。

そうして機嫌よく俺は帰った。




◆その頃の部室


そこには部長と副部長の姿があった。

二人とも険しい顔をしている。


「まさか紺野が秒で堕ちるとはな」


「これが知れ渡ると部員のモチベが大変なことになるだろうよ」


「そうだな。もし部室でイチャつかれたらな……。さすがに俺もキツいさ」


「お前モテないからな」


「おい」


「まぁえらい新人が来たもんだ」


「そうだな。サッカーの実力はうちでは一番、そしてあの顔ときたもんだ」


「とりあえずあいつが失望して辞めないよう、練習は厳しくしようかね」


「そうだな」


その日からサッカー部の練習は今まで以上に厳しくなった。

それがまさか晋也のせいとは二人以外は誰も知らない。

そこから日中、校内には死んだ顔をした男子生徒が数多く目撃されることになる。

勿論その全員がサッカー部であった。

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