第14話 大和撫子
「失礼しまーす」
夏帆に連れられ職員室に来た。
誠二さんには行けば分かると言われたが、これで合っているだろうか?
すると一人の若い男性が近付いてくる。
パッと見は25~30歳くらい、身体は細いがしっかり筋肉があり、顔もなかなかハンサムだ。
「君が風間晋也くんやな。俺は宮川。君の入るA組の担任でサッカー部の顧問でもあるんや。よろしゅうな」
「よ、よろしくお願いします」
「はは、そんな畏まらんでええよ。もう少ししたら教室連れていくから、少し待っとってくれ」
ちょっと癖が強い気もするが、この先生は嫌な感じがしない。
俺はとりあえずこの時間で、自己紹介を煮詰めることにした。
朝のHR5分前の予鈴が鳴った。
「ほな、そろそろ行こか」
先生に連れられ、教室まで来る。
ちなみに1Aは4階の本校舎塔の一番端で、職員室は本校舎塔の2階にある。
まずは先生だけ入り、クラスの人達に転校生が来るみたいなことを言っている。
「ほんなら風間くん、入ってきてや」
俺は新しい環境に不安や期待がある。
どうなるかは分からない。
少しでも良くなるようにとドアを開けた。
入ると全員が俺を見ているとはっきり分かる。
息を呑む者、口を押さえる者、反応は様々だ。
俺はチョークで黒板に名前を書き、自己紹介を始める。
「風間晋也です。○○高校から家の事情で転校してきました。部活はサッカー部に入るつもりです。とりあえずまずはクラスに馴染めるよう頑張るのでよろしくお願いします」
無難にを心がけた自己紹介だったが、しっかりと拍手をもらえた。
ひと安心だ。
「ほんなら風間は窓際の一番後ろの席やな」
「分かりました」
俺は自席に移動する。
鞄を机にかけ、隣の人に挨拶する。
「風間です。よろしくお願いします」
「そう気を使わないでくれ。私は本田光だ。クラス委員長もしている。何かあれば言ってくれ」
あらためて顔を見て衝撃を受ける。
夜のような真っ黒の髪を後ろで1つに縛った、いわゆるポニーテールではあるが、顔のレベルが高すぎる。
シミ1つない美しい肌、目は少しつり目気味であるがキツい印象はない。
長い睫毛に小ぶりな唇。
一言で言い表すならば、大和撫子の具現と言ったところだろうか?
夏帆といい本田さんといい、最近の美少女との遭遇率が半端ない気がする……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます