第8話 義妹(1)

*夏帆視点です



私は滝本夏帆。

16歳で令和高校の1年生。

部活はバスケで1年ながら既にベンチ入り、生徒会にも入った。

生徒会はまだ入って1週間くらいだけど、かなり充実している。


ある日の夜、父から話があると言われた。

最近父は機械ではなくなった。

笑顔が増えたのだ。

だからきっと良いことなのだろう。


「え!再婚!?」


「ん~、夏帆は嫌か?」


「ううん!いいと思う!」


それは本心だ。

父が幸せそうなのは、その相手のおかげなのだろう。

父は私が小さい頃から何一つ不自由のない生活を送らせてくれた。

それもお金だけを置いておくようなやり方ではない。

毎日家事や弁当まで、自分の仕事も大変だろうに全てやってくれたのだ。

そんな父に幸せになって欲しいと思うのは当たり前だろう。


「その再婚相手なんだけど春乃さんって言うんだ。ちなみに夏帆と同い年の息子さんがいるらしいよ」


「えっ!?」


「それで引っ越してきたら夏帆と同じ令和高校に入ってもらうつもりだ」


「ええっ!?」


果たしてどんな人なんだろう?

そんなことを考えていると、その日は眠れなかった。




そして日曜日、春乃さんと息子さんが引っ越してきた。

少し照れ臭くて、ぶっきらぼうに挨拶をする。

お辞儀した頭を上げると、そこにいたのは優しそうな綺麗な女性と、限りなくレベルの高いイケメンだった。

目線が合う。

頬の温度がどんどん上がっていく。

恥ずかしくて私は部屋に逃げた。



あのイケメンが今日から義兄。

そう考えると幸せだった。

俗に言う細マッチョであり、清潔感があり、左目の下の泣きぼくろが魅力を引き立てる。

ふと窓から外を見る。

庭にはサッカーの練習をする義兄の姿があった。

あまりのカッコよさに目を奪われる。

そして思い付く。


今の間に部屋を見てみよう、と。

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