第5話 庭には2羽鶏がいなかった

俺は段ボールに入った私物を出していく。

新しい家で俺は自分の部屋をもらった。

2階に登り、手前から2つ目の部屋だ。

ちなみに夏帆さんは手前から1つ目の部屋らしいです。


彼女は目が合ってから、部屋を出ていない。

新しく出来た兄の顔面偏差値は30。

一緒の学校に通う兄がこんなブ男だったら嫌にもなる。

悲しいけど悪いのは俺だ……


荷物の大体の整理が終わった。

部屋は前の部屋の2倍程の広さがある。

前は物が多くゴチャゴチャしていたが、今はすっきりしている。

俺は仕上げに盾を棚に飾る。

この盾はサッカーの地区大会の最優秀選手に選ばれたときにもらった宝物の1つだ。

小さい頃からの努力が報われたときに勝る喜びは無いと思う。

盾を眺めたていたら、ボールを蹴りたくなってきた。

俺は運動着に着替え、ボールを持ち、誠二さんと母がいる1階のリビングに降りた。


「やぁ晋也くん、荷物の整理は終わったかい?」


「おかげさまで終わりました!部屋が広くてびっくりしてます」


「ははっ、そうか。何かあったら言ってくれよ。お、その服とボール、サッカーするのかい?」


「はい。練習しようかと思いまして。この辺りに公園とかあります?」


「サッカーやるなら庭でやるといいさ」


案内されたのは広い芝生の庭だった。

フットサルのコートなら作れそうなくらいでかい。

俺は誠二さんにお礼を言って練習を始めた。



今日の練習はやけに集中できない。

何か視線を感じるのだ。

少し怖くなって辺りを見渡すが誰もいない。

結局そのまま練習を続けること1時間。

練習を切り上げ、家に入ろうとしたとき、


『パリンッ』


何かが割れる音が2階から響いた。

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