第4話 挨拶

母の再婚の話から大体1週間がたった日曜日。

今日、俺は母と新しい父の家に引っ越すことになっている。

引っ越しと同時に新たに家族となる二人と対面するので、正直不安だ。

事前に顔合わせをしようという考えは無かったのだろうか……


母の運転する車でおよそ一時間。

今日から暮らすことになる家に着いた。

家はなかなか大きく、駐車場にはシルバーの車が止まっている。

ベンツだ。

どうやら誠二さんはお金持ちらしい。

まぁだからなんだという話なのだが。


母がインターホンを押すと少しして扉が開いた。

出てきたのは優しそうな男性だ。

笑顔が素敵で、なかなかハンサムだ。

あぁ、羨ましいなあ……


「君が晋也くんだね。僕は滝本誠二。最初は戸惑うと思うけど、これから僕達は家族になる。何かあれば遠慮なく頼ってくれ」


差し出された手を握る。

その手は見た目以上にガッチリしていて、力強さを感じた。


「夏帆、お前の新しい兄さんと母さんだ。挨拶しなさい」


そう誠二さんが家の中に声をかけると、一人の少女が歩いてくる。

髪は茶色く、肩辺りで切り揃えられており、見るだけでサラサラだと分かるほど美しい艶があった。

目は大きく、小ぶりな口、いかにも男受けしそうな美少女であった。

さらにその容姿に加え、スタイルは良く、モデルとしても充分活躍できそうなレベルだ。

俺はあまりの可愛さに彼女を見つめてしまう。


「滝本夏帆です。これからよろしくお願いします」


短い挨拶を終えた彼女は顔を上げる。

そして俺と目が合う。

見つめ合うことおよそ3秒。

彼女は突然そっぽを向き、家の中に走っていってしまった。


あぁ、俺って逃げられるくらいブサイクなんだ……

俺は只でさえ残り少ないライフを削られ限界間近だ。

俺は大きくため息を吐き出した。



そのときの夏帆はと言うと、

(なにあのイケメン!?やばいかっこよすぎて目が合わせられないよ。あの人がお兄ちゃん?やばいって!)


顔を真っ赤に染めてベットでじたばたしていた。

勿論こんな姿を晋也が知るはずもない。

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