第3話 母の再婚

少し俺の話をしようと思う。

名前は風間晋也。

顔面は従姉妹に偏差値30と言われた。

好きなものはサッカーと料理だ。

2歳の頃、交通事故で父の晋太郎を失う。

それ以降は母の春乃に育てられ今に至る。


母には感謝している。

女手1つで俺をここまで育ててくれた。

働けるようになったら恩返しするつもりだ。

そして高1の5月のとある日。

母からそのことを告げられたのは突然だった。


「お母さん、再婚しようと思うの」


「良いと思うよ。お母さんがしっかり選んだ人なんでしょ?」


「人柄は保証するわ。お相手は滝本誠二さん。年は私の2つ上の40歳でね、奥さんを病気で無くしてるの」


「そうなんだ……」


「それで大事なのはここからなの。再婚したら私たちは誠二さんの家に引っ越すことになるわ。転校することになっちゃうの……」


「転校先は?」


「令和高校よ。編入テストは形式だけで何点取っても合格になるわ」


令和高校。

数年前に出来たばかりの私立高校。

校舎や施設が最新鋭であり、人気は高かった。


「本当に入れるの?」


「ここだけの話よ。令和高校で一人退学者が出たから、枠が一人分空いているの。理事長は誠二さんのお父様なの」


「コネ入学……」


「ま、まぁこんな機会ないんだし……」


「分かったよ」


今の学校には友達はいるけど仕方ない。

女子は目が合うと逸らされるしやっぱり嫌われている。

令和高校でもそれは変わらないだろうな……

それでも俺は、母の再婚の妨げになることは避けたかった。

母には幸せになって欲しい。


「ありがとう晋也。あと言い忘れてたんだけど、誠二さんにはあなたと同い年の娘さんがいるわ。その子も令和高校に通ってるそうよ」


「なんだって???」


いきなり未来が不安になった。

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