森を歩く

「お疲れ様です。」

16時で仕事を終え職場を後にした。

会社の目の前の横断歩道で信号待ちをしていると、くしゃくしゃな顔をした老人が信号無視をして車の進行を妨げ、クラクションをならされていた。自分が悪いにも関わらず老人はしかめっ面をして車に罵声を浴びせていた。

 朝よりも夕方の太陽は頭を焼き付け、

人をイライラさせ体力と羞恥心を奪うのかもしれない。

 

私は人が苦手だ。

怒っている人を見るとドキドキする。

毎日視線に怯えながら生きている。

陰でコソコソ話していたら、

悪口を言われてるいる気になる。

要するに自信がないのだ。


人ごみや、満員電車も苦手だ。

学校生活を終えると都会に出たがるが、

私には理解できない。

深い森で静かに暮らしたい。

好きな書き物をして、

自分で野菜を育てて、

毎日森を歩く。


なのに喫茶店で働く理由は…。

私にもわからない…?

本当はこの性格を変えたいのかもしれない。

赤い自転車を格好良く乗りこなし、

堂々とした態度で誰にでも物怖じせず、

明るく活発に…。


 その理由は本当は自分が良く知っている。

心の奥に負った傷は簡単には説明できない。

森よりも深いのだ…。

 

 田舎に憧れながら、 

 都会を彷徨う。

 私は今日も深い森を歩く…。

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