第3話 絶望と覚悟

宿屋を後にし シンは町の中心部の

クエスト掲示板へ向かい出すと

一人の 赤髪の男が話しかけてきた


『 君冒険者だよね? 』

『 はい 一応.. 』


話を聞くと 1つの難関クエスト攻略のため

メンバーを集めているらしい

男の名前は リルといった


行くあてもない シンは リルと握手を交わし

次の日の クエスト受注の時までお互い準備を整えることにした


次の日__

約束通り 町の中心部 リゴスタ にある

集合場所へ向かうと

タンクから魔法使いまで 沢山の人が集まっていた

すると 皆の前で リーダーのリルが口を開いた


『 皆 集まってくれてありがとう、

今日は遥か昔から この町の冒険者を

悩ませてきた魔獣討伐の日だ!

お互いを守り 高め合ってほしい。 』


リルのこのクエストにかける強い意志に

皆が賛同していた


このクエストは 昔から冒険者が集う センタルシアに言い伝えられている

禁忌クエストの1つと呼ばれており

リルの言う通り、このクエストでの死者も

後を絶たないという


シンを含めたリル率いる《 討伐隊 》は

早速 魔獣討伐に向かうことになった

場所は センタルシア外れの 洞窟

その中には 魔獣も多く生息しているらしい


洞窟内の魔物はリルを中心とした魔法使いによる殲滅が行われており、

人数も多かったこともあり 軽快にボスの扉の前まで進むことが出来た


さあ行くぞ!

パーティ全員が強い意志を固め

リルの合図と同時に扉が開いた


『 あ..れ...?』


扉を開けた瞬間

リルは 何故か転んだかのように崩れ落ちた


『 うわぁあぁぁあ 』


突如として胴体が切り裂かれていた

まるでその空間ごと くり抜くかのように


そして 扉の先には一人の道化師のような魔物の姿があった

『 あはは。懲りないね〜 君たちも。』

魔物は 王座のような物に座り高らかに笑いを見せていた

『 オイラの名前はリグル

全種族の頂点に立つ存在さ。 』


『 慌てるな!プランBに移る!』

リーダーリルの 思いもよらない離脱による

動揺もあるはずだが 流石といった所だった

パーティの皆は 今自分に出来る最優先の

行動をし、リグルに立ち向かっていた


その中 シンと一人のフードを被った女性は

リルの看病にあたっていた

すると リルは満身創痍の中 口を開いた


『 俺たち 冒険者は死にものぐるいで駆け上がってきたんだ..必死に、

この中にも 大切な人を守れなかった奴も多くいる 

だから..俺たちは倒れる訳にはいかないんだ.. 』


リルはシンに1つのペンダントを手渡した

そこには リルと一人の女性の姿があった

『 約束守れそうにないなぁ.. 』

頬を伝い 一筋の涙が流れていた


『 ドンッッ!! 』


すると 王座の方から爆発音が聞こえた


『 ケタケタケタ これでオワリ? 』

リグルの 周りには沢山の血が流れ

パーティメンバーは 見るも無惨な姿で

その場に倒れ込んでいた


その場を見た時 シンはリルの手を強く握った

『 俺も同じなんだ..

待ってろ。終わらせてくる。 』


シンは魔法も使えない剣士

そんなことはリルも知っていたが

その後ろ姿からは 眩いほどの闘気が感じられ

シンを止めるという判断には至らなかったという


『 少しの間 リーダーをお願いします。 』

シンは リルをフードの女性に任せ

リグルの元へと歩いていった


『 腰に長剣、魔法剣士か?

俺の下で 無様に倒れてるコイツらは決して弱くはなかった。

お前 一人の力ごときで何が出来る!!!』


リグルの闘気が高まり 辺りは揺れていた


『 もう君もおやすみ。 ていうのはウッソ。』


リグルは 手を一振し シンの後ろの

リルたちに魔法を放ち


爆風と共に辺りは吹き飛んだ。

すると その瞬間。奇跡が起きた

シンの強い覚悟と共鳴したかのように

シンの手には 1本の大剣が握られ

2人を庇い 魔法を切り裂き受け流していた


『 なんだ..これ。 』

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