第3話 侵入
建物の裏側へ回った私。
さっきルナに話した通り、
屋上からの侵入するための用意を始める。
まず背負ったバックパックから
長さ30㎝ほどの黒いパイプを取り出す。
直径は8㎝で中空になっているけど
片方はふさがれて向こう側を見通す事は
出来ない。
この中空部分に一回り小さい棒を差し込む。
その先端には船の錨のような爪が
十字に付いていた。
セット完了。
壁から1mほど離れてしゃがみ
パイプの下端を地面に押し付けて
ボタンを押すと
「ボフッ!」っと言う軽い音と共に
カギ爪棒が上空へ飛び出した。
棒の下端からは
細いワイヤーロープが伸びて行く。
カギ爪棒は屋上のフェンスにしっかり
絡み付いてくれたようだ。
何度か強く引っ張って強度を確認した後、
登坂フックをワイヤーにセットする。
フックにはモーターが内蔵されていて
スイッチを入れると自動的にワイヤーを
登って行くのだ。
屋上まではおよそ1分。
だいたい標準的なエレベーターで昇るのと
変わらないわね。
屋上フェンスに着いた私は
体を大きく振って器械体操のように
体を持ち上げて屋上に降り立った。
すぐにフェンスにしっかり絡まった
カギ爪棒を外しバックパックへ収納する。
侵入の痕跡を残さない。
それはこの手のミッションでは
基本中の基本だ。
辺りを確認すると屋上中央部に花壇があり
それを挟むようにベンチが並んでいた。
そして私の左手側の奥に
下へ通じる階段がある建屋があった。
私は小走りでそこへ近付いて
階段がある扉のレバーを
手袋を付けた右手で押し下げる。
やっぱり、そうだ。
意外かもしれないが5階立て以上の建物では
屋上から内部へ通じるドアの施錠が
されていない事がよくある。
「こんな所までわざわざ登ってくる物好きは
そうそう居る物じゃない。」
そう考えるのも無理はないけど
ちゃんと準備してくる私のような人間も
いるんだから。
セキュリティにはもっと注意する必要が
あるんじゃ無いかしら…。
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