第7話 2020年4月2日 大阪証券取引所

通常、株の値段と言うと東京証券取引所の値段を指すことが多い。

では、日経平均株価指数先物はどこの値段か?

これは世界中のいくつかの取引所で扱われているが、日本だと大阪証券取引所になる。

現物げんぶつ株は東京証券取引所、先物などの金融派生商品は大阪証券取引所みたいな住み分けだ。

これは大阪証券取引所が江戸時代に米の先物取引を世界で初めて開始した流れをんでいるらしい。


東京証券取引所の現物株は9:00から15:00までの取引だが、大阪証券取引所の先物は8:45から翌朝の5:25まで取引されている。

途中、1時間ちょっとの休み時間はあるものの、一日のほとんどの時間で取引が可能ということだ。

そして、これが何を意味するかというと、先物は東京の株式市場が閉まった後からが本番ということを意味していた。


3月31日の15時に東京証券取引所が閉まった後、16時半から大阪証券取引所のナイトセッションで再開されると、俺は先物の値動きから目を離せずにいた。

予想通りの急落だったからだ。

いつ利益を確定しようか?

今すぐに確定すれば10万円は堅いがまだまだ値下がりする雰囲気があった。

俺は仕事も食事も上の空で、激しく動くチャートを見続けていた。

3月31日、4月1日……

決して終わることのない値動きを見つめ続けていると4月1日の24時も過ぎていつの間にか日が変わり、深夜1時をまわっていることに気付いた。


「さすがにしんどいな。

 今日はもう寝るか。」

一人つぶやき、俺は幸福な気分で眠りについた。


明けて4月2日の朝、俺は前日までの夜更よふかしのせいで8時半過ぎに目を覚ました。

先物の気配値けはいねをチェックしないと。。。

俺は寝ぼけ眼をこすりつつスマホで証券会社のアプリを立ち上げる。

気配値は……17,900円台だ!

単純計算で40万円程の利益になっている。

俺はこの結果に満足し、決済取引を行った。

わずか2日間で40万円の収益を得たのだった。

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