第118話〜星猫戦隊・コスモレンジャー〜
「お帰り……あ! 仲間が増えたんだね!」
仮設基地に着くと、プレアデスが迎えてくれた。
ボクらが戦っている間、ずっと避難してきた奴らの面倒見てやがったんだ。プレアデスもよく頑張ってやがる。
狭苦しくなってきた部屋を見て、プレアデスが提案した。
「これだけ増えちゃ、ここだと狭いな。もう一つ広い部屋に移動しよっか」
「じゃ、軽くそこで打ちあがろうぜ。いいだろ?」
ボクが言うと、ソールさんは、疲れた顔をしたみんなを見てから、口を開いた。
「まあ、ここまでよく頑張ったんだ。美味しいご飯でも食べよう」
「やったあ!」
「じゃあ、料理は任せて!」
プレアデスはそう言ってエプロンを着けると、ボクらを近くの広い部屋に案内した。畳張りで座布団がいくつかあり、寝転がれるほどに広々としたスペースだ。
♢
「ところでポコよ。お前あの時どうやって助かったんだ?」
プレアデスが張り切って料理を作り出し、他のみんなも部屋でくつろぎ始めてから、ボクはポコが火の海に落ちてからどうやって生き延びたかを、尋ねた。
ポコは答える。
「あの時僕も転身出来るようになって、星光団の一員になった……彗星の勇者、ポコとして。実は、溶岩に落ちた時に大火傷したんだけど、転身した時に現れたバリアの力で、火傷が一瞬で治ったんだ。それから僕のバリアでデネブとリゲルを守りながら、近くにあった岩場へと脱出した。そこで僕は、金色の光を見たんだ」
「金色の光……だと?」
まさか。ボクとスピカを、〝試練の洞窟〟に導いた、あの光——守護神に、ポコも導かれていたのか。
「その直後、あの大きな噴火があったんだ。その時ライムがやって来て、デネブを助けたのを見た。残された僕とリゲルはそのまま金色の光に包まれ、気付いた時には……不思議な雰囲気の泉のほとりにいたんだ。ゴマたちは大丈夫だったのかい?」
話を聞いていたライムさんが下を向き、フーッと大きく息を吐いた。
ボクは気にせずに、その時の事をポコに話す。
「あの時、ライムさんは改心したんだよ。そしてライムさんはボクだけじゃなく、ムーンさん、スピカ、ダイモスさんも助けてくれた。その後色々あって、あの時の戦いは丸く収まったんだよ。ま、お前が勇気出して戦ってくれたおかげだ。強くなりやがって、この野郎」
「ふふ、そういう事だったか。……あれからゴマも〝試練の洞窟〟で、守護神を味方につけたんだね。さっき言った不思議な泉にも、ゴマとスピカは訪れたんだろう? 金色の光が僕を導いたのは、その〝試練の洞窟〟だったんだ。泉のほとりでリゲルと何日か休んだ後、僕は〝勇気の試練〟を乗り越え、守護神〝タナトス〟の加護を得られた」
……ということは、もしかすると。
最後の、ライムさんの幻影と戦った時に、姿を隠しながら一緒に戦っていた黒い影の正体は——。
「お前! あの時ボクらと一緒に戦ってたのは……」
「ああ、僕さ」
ニカッと、ポコは笑顔を見せた。
「ばかやろ! そん時にそう言えよ!」
「ははは……。再会の楽しみは取っておきたかったのさ」
「でもな、心配してもろてるん忘れたらあかんで? みんなあんたの事死んだと思ってたんやさかいに。それから、リゲルはどないしたん?」
スピカが頬を膨らませながら言う。
「それは反省してる。リゲルには、僕の試練が終わるのを待ってもらって、その後〝タナトス〟の力で一緒にニャンバラに行ったんだ。既に災害が起きていて、住民を避難させた後にゴマたちを探した。ニャンバリヴァイアとの戦いの時に、ようやくみんなを発見して、合流できた。あの時、ガイアドラゴンが僕を導いてくれたんだ。合体して、超星機神グランガイアになるために、ね」
「なるほどな。ま、何にせよ無事で良かったぜ」
「ポコの変わり具合に、私もビックリしましたデスー! ……そうだ。ポコの〝奥さん〟、どうしてるんデスか?」
話を聞いていたリゲルが、口を開く。
それを聞いたポコは、顔色を変えてボクに尋ねてきた。
「そうだ、ユキは⁉︎ ユキはどうしたんだ⁉︎」
すかさず、ボクは答える。
「聞けよポコ! ユキは、3匹の子供を無事、産んだんだぜ!」
「な、本当か⁉︎」
その時のポコの嬉しそうな顔は、今も忘れられねえ。
スピカは、ポコの背中をポンと叩いた。
「せやさかい、早うこの戦い終わらして、子供と会いに行くんやで! パパ!」
「……ああ! 待ってろよ、ユキ! そして、まだ見ぬ我が子たち!」
早く3匹の子供たちの元気な姿を、ポコに見せてやりてえな。
「お待たせー! 料理出来たからテーブルに運んで行ってー!」
「よしきた!」
プレアデスが両手に美味そうな魚料理を持って、部屋に入ってきた。ほくほくと湯気が上がり、美味そうな匂いが、部屋中を満たしていく。
♢
13匹みんなで、プレアデスが作った数々の魚料理を腹一杯食った。
ソールさん、ムーンさん、マーズさん、マーキュリーさん、ヴィーナスさん、スピカ、ポコ、フォボスさん、ダイモスさん、ライムさん、デネブ、リゲル、そしてボク——ここに居るネコたちはみんな、超星機神グランガイアが認めたんだ。
「これを機に、ここにいる13匹全員〝星光団〟でいいんじゃねえか?」
ボクはそう提案してみた。ソールさんは少し考え、答える。
「……そうだな。ならば、新生・星光団——〝
ソールさんの言葉で、星光団改め〝星猫戦隊・コスモレンジャー〟が結成された。
最強の味方、超星機神グランガイアもついてくれた事だし、早く次の敵を討ち、ミラの企みを止めなきゃな。
「次は4匹目の
「それが、4体目の厄災竜は、今も眠り続けていて、目覚める気配が無いのだ。今は下手に刺激しない方がいいかもしれない」
4匹目の
どんな奴かは全く未知だが、災害を起こさねえってんなら、ほっといても良いのかもな。
「じゃーソール、次はどうするのよ?」
「あのミラとかいう神と、どうやったらまた会えるか、だな」
「それに、ミラの企みを止めるにはどうしたらいいかの手掛かりが、今のところ全く無い状況ですね……」
今後の作戦についてみんな頭を悩ませ始めた時、ライムさんは立ち上がって言った。
「ならば、グレに会いにいこう。ずっと祈りを捧げているはずだ」
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