第116話〜黒き彗星〜
「ダイモス……。今までどこにいたんだ! 何で、お前だけで戦ってたんだ!」
全員がコクピットに集まる。
みんな、ダイモスさんの姿に驚きを隠さないでいた。
ダイモスさんは、俯きながら答える。
「俺はあれ程の罪を犯したんだ。命を捨ててでも、この化け物を止めなきゃいけねえ。せめてもの償いに、と思ってな……!」
「馬鹿者! ならば、始めから謝りに来い! お前は、いつも、いつも……!」
フォボスさんがまた、ネコパンチでダイモスさんの頬を殴ろうとした時——!
コクピットのガラスにザバアアアッと、波しぶきが襲いかかり、スターマジンガの何十倍ものデカさを持つ大海竜ニャンバリヴァイアが、再び海面から姿を現した。
「全員席につけ! 行くぞ、〝
ソールさんが〝菊花の剣〟を右手に持つと、その剣は光り輝いた直後に消滅したと思ったら、次の瞬間、マジンガの右手に巨大化した〝菊花の剣〟が持たれているのが見えた。
「大海竜の髭を狙うんだ!」
「ウロオォォォォォオン……!」
マジンガは菊花の剣で、ニャンバリヴァイアの顔からいくつも生えた太い髭を、斬り飛ばした!
「ウロォォォーーン……!」
苦しげに咆哮を上げるニャンバリヴァイア。
ボクは目を瞑り、残りHPを見てみた。
HP 141284→140924
〝菊花の剣〟の力でも、僅かしか減っていない。
HP 140924→150750
それどころかニャンバリヴァイアは、瞬時に全回復し、髭もみるみるうちに再生していきやがる。おまけにほとんど隙がなく、矢継ぎ早に大波を引き起こし、マジンガを沈めようとしてきやがる!
「うわああああ!」
激しい波しぶきを打ち付けられ、マジンガはバランスを失った。
失速し、波が荒れ狂う海面に激突してしまう——!
「ダメ! 沈んじゃう!」
「合体解除だ! 分担して倒すぞ! それぞれ、各守護神の操縦席へ急ぐんだ!」
作戦変更だ。
合体を解除し、それぞれの守護神マシンで散開する。
「フォボス、俺の戦闘機〝エレボス〟に乗れ! ……久々の共闘だな! 頼むぜ!」
「……ああ。力を合わせるぞ、ダイモス!」
ボクらは、ニャンバリヴァイアの目の前を飛び回り気を引きながら、ひたすらレーザーを浴びせ続ける。
……が、結局はすぐに回復されてしまう。
少しのダメージに対して、回復量が大きいので、時間が経つほどに、こっちが不利になっていく。
『クソーー‼︎ 全く歯が立たない!』
『ダメ! やられるーーッッ‼︎』
ボク以外の守護神マシンは何度も波しぶきを喰らわせられ、暴れ回るニャンバリヴァイアとの戦闘から次々に離脱していく。これ以上無理して戦うと、あっという間に海の藻屑にされてしまうだろう。
……そしてとうとう、ボクだけになっちまった。
『ゴマくんも無理しちゃダメだ! 一度離脱するんだ!』
「……いや! ボクは最強なんだ! 絶対ここでヤツに致命傷を負わせてやる!」
もう一度ヤツの目を潰してやろうと狙い撃ちするも、今度は全く当たらない。ボクはほとんどヤケクソだった。ダメだ。冷静にならなきゃ。ガイアドラゴンも言ってた。もっと強くなるなら、心を磨けと……。
ボクは一つ深呼吸をしてから、一旦高度を上げ、ニャンバリヴァイアから離れた。
突如、雷鳴のような衝撃音が耳を貫く——!
見ると、無数の紫色のレーザーが、ニャンバリヴァイアの顔面に炸裂していた。一瞬ひるむニャンバリヴァイア。何だ、今のは⁉︎
どの守護神マシンのレーザーでもない。一体誰が……!
『ゴマ、久しぶりだね。幽霊じゃないぜ』
コクピットのスピーカーから、聞き覚えのある声が聞こえた。
霞の中から現れたその黒いマシンは、目にも留まらぬ速さでニャンバリヴァイアの周りを飛び回り、再び無数のレーザー光線を浴びせた。
たまらずニャンバリヴァイアは、攻撃を中断する。
そう、この声の主は——!
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