「自作案内所」コレクションを一通り拝読させていただいて、とても繊細な文章を書かれる方なのだなとお見受けました。情景描写が簡素なわけではないのに読みやすく、自然に心に染み入ってくる感じがして素晴らしかったです。個人的な意見ですので軽く受け流してほしいのですが、ねこK・Tさんの紡がれる言葉は詩よりも小説の形である方が表現が鮮やかで豊かに見えた気がします。物語の中に置かれた言葉の方がいっそう輝いて見えるように感じました。
私は、その中でもこの作品が特に好きでした。
この作品は、一貫して文章が静かな色を湛えているところが素晴らしいなと思いました。読んでいる最中、寄せては返す波の音が耳の奥で響き、モノクロ、群青、瑠璃と主人公の心の動きに合わせて、物語の中の色が少しずつ鮮やかになっていく感じがして、最後には群青という色が主人公の哀愁という心情を色濃く表している。まるで作品全体で青の波を表しているかのような、青の魅力に飲み込まれていく感じがして、とても素晴らしかったです。素敵な作品をありがとうございます。
作者からの返信
森山満穂さま、はじめまして。お返事がすっかり遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
そして、丁寧な感想、本当にありがとうございます……! この作品だけでなく、コレクションの他の作品まで読んで下さったようで、感謝しかありません。
文章についても、もったいないほどのお言葉をありがとうございました。
自分自身、情景描写が好きなんですが、他の方にちゃんと伝わっているかどうか、どうしても自信が無くて。独りよがりなものになってしまっている気がしてならないんですよね。(この「宵闇の彼」もそう思いながら書いたのですが)
ですが、私が伝えたかったこと、表したかったことを丁寧に読み取って下さったようで、とても嬉しくなりました。
それと、私の詩と小説とで、言葉の見え方の違いも教えて下さってありがとうございます! 詩と小説、双方を比べて感想をいただけることがなかなか無いのでとても参考になりました。
森山さまのお言葉に、それぞれの作品の書き方を振り返ってみたのですが。
詩を書く時は、伝えたい気持ちを、その勢いのままに描こうとすることが多いんですよね。大声でわっと叫ぶような感じで。一方小説は、時間をかけて、伝えたいテーマを少しずつ説明していくイメージです。多分、そうやって勢いに任せて書いてしまうからこそ、詩の言葉選びが若干雑になってしまっているんだと思います。(テーマを表すのに一番ふさわしい言葉を選べていないというか)
気持ちが冷める前に作品を書くというのも大事ですが、冷静な視点で作品を見返すというのも大事だな、と、作品の書き方を見直す良いきっかけになりました!
重ね重ねになりますが、このたびは素敵なコメント、本当にありがとうございました!
編集済
僕は天体観測が好きで、新月の夜に海岸まで足を運ぶこともしばしばあります。
ひとりで聴く夜波の音と、ふたりで聴く夜波の音って確かに違うんですよ。
そんな体験を思い出させてくれました。
自分のことだけでなくって、作品のことにも語らせてください。
主人公の彼女が、海をどう見るか、音をどう聞くか、彼の横にどんな風に立つのか、そんな描写で心の様子を、読者に探らせる。
その柔らかい表記法が素晴らしいです。
勉強になります。
〈追伸〉
辰井さんのコメントを読んで思ったことも書かせてください。
月も電灯も無くても、白波は見えます。
晴れていれば星明りで、曇っていれば雲の光で。実は雲って光るんです。積乱雲という意味じゃないですよ。遠くの街明かりの光か、上空の星の光か、そんな光を蓄えて雲もわずかに白みます。
これは人工的な光のない場所に行って初めてわかるものです。
辰井さんを批難するつもりはないですが、一応。
作者からの返信
作品へのコメントだけでなく、素敵な体験談まで聞かせて下さってありがとうございます……! 新月の夜、海岸での天体観測。なんだかそれだけで一つの作品になりそうですね(*´ω`*)
下の辰井さんへのお返事にも書いたのですが、この作品は「とにかく情景描写がしたい!」と書いた作品です。また、あえて主人公の詳細をぼかして書いていることもあって(誤認させたかったというか)、感情移入や理解がしにくい作品でもあると思うのです。ですが、そこを描写から丁寧に読み取って下さったようで、本当に嬉しかったです。
また、その情景描写にもお褒めの言葉をありがとうございます。嬉しい言葉ばかりで、画面の前で思わずにやにやとしてしまいました(笑)。
あと、追伸で書いて下さったことについて。
なるほど、そうなのですね……!!!(作品を書いた本人が一番分かってなくて申し訳ありません)
暗い夜に見える白い波の色というイメージを先行して書いてしまったもので、全然裏を取っていなかったんですが、結果的に嘘を付いていなかったようでほっとしました。
でも今回はたまたま間違ってなかっただけですし、やはり、きちんと調べて書かないと駄目ですね(^_^;) 今後の課題です。
教えて下さってありがとうございました!
こんばんは。企画参加ありがとうございます♪
拝読させていただきました!紙面で読みたくなる作品でした。
なんとも寂しく悲しい最後ですが、暫く経てば、主人公は立ち上がる力をこの絵にもらうのかな、とか想像すると、うるっときますね
最後の二文は、個人的に大好きで、素晴らしい締め方をするなあと、スタンディングオベーションの気持ちでした笑笑
素敵な作品をありがとうございました♡
作者からの返信
南雲 燦さま、はじめまして。読んで頂けただけでも嬉しいのに、コメントまでありがとうございます……!
主人公のその後というのは余り考えたことがなかったのですが、南雲さまの仰るとおり、時間経過と共に、主人公の絵の見方も変わってきそうですね。
悲しさや寂しさだけでなく、彼が絵の中に残した白い光――希望とか、嬉しさとか、そういうものを、主人公が受け取れるようになってくれれば良いなと思います。作者がそう思うのも何だか妙ですが(^_^;)
また、最後の文章についても、もったいないほどのお褒めの言葉をありがとうございました! 最後の一文は自分でも拘って書いたところだったので、そこを読み取って下さって本当に嬉しかったです。
色気とか雰囲気があるかどうか判断が付かず、企画内容に合っているかびくびくしていたのですが、少しでも楽しんでいただけたのなら何よりです。素敵な企画に参加させていただき、本当にありがとうございました!