第200話 【ドミー団】、愛を確かめ合う

 「…というわけなのです」


 シオの散歩や【ドミー軍】に関する公務などを終えて帰った俺に、ミズアが今日起こったことの頓末を報告してきた。

 


 「そうか…ミズア、俺はお前と共にいられる時間が増えて嬉しい。ライナも同じ気持ちだろう」 

 「ドミーさま…ミズアも同じ気持ちです」

 「とう!てい!」

 「あとは、母上のスキルを使いこなして敵を破るだけだな。一度見せてくれないか」

 「はい。こんな感じなのですが…」

 「【ファイア】!【ファイア・ダブル】!」

 「おお。これはなかなか面白い。だが、確かに扱いが重要となるな。俺と一緒に…」

 「はあああああ!火炎の軌道を制御してえええ!」

 「…ちょっと待っててくれミズア」


 ムードを壊す小さな炎魔導士の元に向かう。

 【ルビーの杖】を構えながら、炎魔法の練習をしているようだ。

 

 頭ぐりぐりの刑とする。

 もちろん軽くだ。

 

 「こらっ!」

 「あいた!何すんのさ!」

 「ミズアの話をちゃんと聞きなさい!」

 「聞いたわよ!ミズアらしい生き方だって思うわ。だから、私も負けてられないと思ってね」

 「負けてられない?」

 「そう。こうやって…」


 ライナは自分の構想を話した。

 買いそろえた【アイテム】のこと、シオからのもらいもののこと、そしてー


 構想中の必殺技のことを。


 「なるほど。それはいい考えだな」

 「でしょ?えへへ…」

 「だからってミズアの会話を邪魔しちゃいかあああああん!」

 「あんぎゃあああああ!ごめんなさあああああい!」

 「ドミーさま!ライナのことを許してあげてください!ライナは、ミズアが命を重視したことを泣いて喜んでくれました…嬉しかったです」

 「許す!」

 「だから早いって!」


 なんだかんだ付き合いの長い3人が過ごす夜は、いつも通り更けていった。

 聖夜まで1週間を切り、少し浮かれていた気分だったのは否めない。

 

 今思えば、油断が過ぎた。

 


==========



 「はい。これは【共有の指輪】ね」

 

 そろそろ寝床に入ろうとした夜、ライナに古びた指輪を渡された。

 ライナ、俺、ミズアの3人分である。


 「ライナ、これは…?」

 「これを付けた者同士は、お互いどの場所にいるのかが分かる【アイテム】なの」

 「誰か1人の身に何かあっても、すぐ探しに行けるのですね」

 「うーん…しかし目立ちすぎやしないか?」


 俺は正直な感想を口にする。

 この前のようにお互い分断されたときの対策なのだろうが、3人同じものを付けていては、意図が読まれやすいように感じたからだ。

 だが、それもライナの作戦の一部らしい。


 「それは織り込み済みよ!ごにょごにょ…」

 「なるほどな。相変わらず、お前の工夫は優れている」

 「えっへん!」


 「ライナ、何かあったらミズアやドミーさまに助けを求めてくださいね?勝手にいなくなったらだめですよ?」

 ミズアは瞳をうるうるさせながらライナに問うた。


 「もちろんよ、約束する…」

 ライナはミズアの頭をよしよしする。

 まるで、長い時を過ごした姉妹のようだ。

 長年実感できなかったが、家族とは本来こういうものなのかもしれない。


 2人が今の現状に幸せを感じてくれるなら、それに越したことはなかった。

 

 「あ、ドミーが私とミズアにやきもち焼いてる」

 「馬鹿、そんなんじゃない」

 「ミズアはドミーさまも大好きですよ?」


 ライナとミズアは、俺の頭をよしよしと撫でた。

 ライナは右手で、ミズアは左手で。


 「俺もさ」


 ムドーソ王国は、来年の聖夜までにものにしたいものだ。

 野望ではなく、俺に付いてくるドミー軍や愛する2人のために。

 

 

==========



 「ミズア…」

 「はい…」


 明かりを消した深夜。

 約束通り、ミズアの相手をすることになった。


 ベッドに横たわるミズアが、室内用のローブをたくしあげ、真っ白なお腹をあらわにする。

 ミズアがもっとも快感を感じる箇所だ。

 引き締まっているが硬すぎず、すべすべとしている。

 触るだけで、若い女性からほとばしるエネルギーを感じられた。


 そこに手を這わせ、ゆっくり快楽を与えていく。


 「ふ…あ…」

 ライナは素直に感情を声に出すのに対し、ミズアは小声で我慢しようとする。

 元はといえば国の重臣として教育を受けた身だからか。

 

 腹筋の1つ1つを触り、ミズアの劣情を少しずつ煽っていく。

 その度に可愛い嬌声が響き、体の震えが走り、俺のボルテージが高まっていった。

 

 「…」

 ミズアが、自分の両腕を静かに俺の背中に回す。

 それに従い、自分の体をミズアの体と密着させる。


 「おへそ…触って…ください」

 戦場で勇猛果敢に戦う少女の面影にはどこにもない。

 上気した顔で、はしたない場所を触るよう懇願した。

 最近はおへそまわりがお気に入りで、そこを触ると嬉しそうな身をくねらせ、【絶頂】へと至るのである。


 だが、今日は別の場所を直接触ることにした。

 ライナに継続して刺激を与えられ、俺自身の知識や経験も増している。


 今回触るのは、ミズアの胸にある2つのーここまで言えばもうわかるはずだ。


 「ひあっ!?ドミーさま、そんなところっ…!」

 「だめか?だめならやめる」

 「嫌じゃないですけど…んんんんん!」

 「いやか?」

 「…いい、です…!ミズアのはしたない所を、お願いします…!」


 ある意味当然かもしれませんが、ミズアの反応はいつもよりよかった。

 とくに、とある箇所を摘むと泣いて悦んだ。


 「ドミーさま!いつまでも、ミズアと一緒にいてください!ずっと!」

 昨日のライナのように、息も絶え絶えになったミズアがうわごとのように叫ぶ。


 「ああ、約束する。ライナと儀式を終えたら、次はミズアとだ」

 「嬉しい…!ドミーさま、もう…!」


 ミズアの言いたいことはわかっている。

 言葉に出す代わりに、桜色のつぼみを軽く噛んだ。


 「あああああっ!!!あっ…はっ!…あああ」

 ミズアは【絶頂】した。

 どうやら、満足してもらえたらしい。

 俺も男冥利に尽きると言うものだ。


 「どみーさま、もういちど…」

 少々刺激が強過ぎたらしい。

 ミズアはむくりと起き上がると、再度求めてきた。

 だが、脱力してしまってるのか、ベッドに倒れ込みそうになる。




 「今日は私の番ね」

 それを支えたのは、いつのまにかベッドにやってきたライナであった。

 ミズアの背中を支え、俺と正対するように位置を調整する。


 「ミズア、今日はあなたがドミーの愛を独り占めよ…」

 「ライナ…嬉しい。ひゃん…」


 ライナがミズアの右耳を甘噛みし、少女に新たな刺激を与える。

 それが、合図であるかのように。




 (今日は朝までだな…)

 内心決意しつつ、再びミズアに身を寄せるのだった。



==========



 「【スキル】には【近接系】、【魔法系】、【支援系】、【憑依系】の4系統が存在する。基本的に、系統の違う【スキル】を使いこなすのは難しいが、1つだけ方法がある…」


 ライナが本を読む声で、目覚めた。

 ベッドから起き上がると、ミズアが傍で眠っている。

 「ドミー…さま、ライナ…幸せ…すー」

 幸せそうな寝顔を浮かべるミズアを確認した後、ライナに声をかけた。


 「【マグダ辞典】を読んでるのか。貸してやろうか?」

 「いや、ちょっと気になる記述があってね…もういいわ」


 ライナがぱたんと本を閉じた。


 「それより、明日はイラートに会いにいく日だったな」

 「…ええ。だめかしら」

 「だめじゃないが、言っておきたいことがある」

 「奇遇ね」


 まるで戦場にいるかのような表情をライナは浮かべる。


 「私もよ」

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