第178話 ライナとミズア、【因子】を採集する
※お詫び
本来ならノクターンに掲載している【完全版】とともに楽しむ話なのですが、なろうアカウント強制退会により閲覧できなくなってしまいました。なんとか再現しようとは思ってるので、しばらくお待ちください。
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「ぶくぶくぶくぶく…」
【ゲオルギーネの湯】の湯に1人浸かりながら、俺はぬるぬるとなった体を洗い流す。
【ドミー軍】の面々はすでに洗浄を終えている。
それを確認し、最後に俺が洗浄する番となった。
…ホテル【フォンタナ】には、後日迷惑料を支払うこととなっている。
「とりあえず作戦に支障はなさそうだが…」
粘液を洗い落とした自らの肉体を確認しながら結論づける。
匂いで識別すると言うから覚悟していたのだが、シオの粘液に強烈な匂いは感じなかった。
どうやら、【シオドアリ】にのみ探知できる特殊な匂いらしい。
皮膚に大きな変化もないので、ひとまず安心である。
それは良いのだがー、
(…なんだろう。この胸の動悸は)
自らぬるぬるとなったライナとミズアの裸体。
それが頭をちらついて仕方がない。
これまで何度も見てきたはずなのに、なぜだろう。
気にしても仕方ないか。
【ゲオルギーネの湯】を出て、寝室へと向かった。
小規模とはいえ俺は一軍の長。
得体の知れない感覚に、いつまでも悩まされるわけにはいかない。
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「…」
ホテル【フォンタナ】のスイートルーム【ローレライ】に戻った。
がー、
「遅かったじゃない」
「ドミーさま、お疲れ様です…あまり見られると恥ずかしいです」
ライナとミズアは、未だに裸だった。
少女と大人の間の狭間にある瑞々しい肉体を、堂々と披露しているライナ。
年齢よりも先に成熟した豊満な肉体を、隠しながら顔を赤くするミズア。
ライナはガラスの壺を握り締めており、そこには透明な液体が入っていた。
おそらくシオの粘液だろう。
2人の姿は室内の鏡やシャンデリアに映り、さまざまな角度から俺の視界に入ってくる。
荘厳な雰囲気のスイートルームには似つかわしくない、生々しい光景だった。
「…2人とも、悪ふざけはそれぐらいにしないか」
流石に気分を害する。
俺たちは、3人で気楽に旅をしていた時には戻れないというのに。
「明日はランデルン地方に出発する。睡眠時間を取るのも戦士としての仕事なのに、体を冷やしてだめだ。早く服をー」
「それはできないわ」
「なんだと?」
「明日からしばらく時間はなくなる。だからこそ、今やっておきたいことがあるのよ」
「…」
ライナが俺の真剣な意思に逆らうのは、初めてな気がする。
「ドミーさま。一度ライナのお話をお聞きください。その後は、どのような罰を受けても構いません」
ミズアも、恐らく初めてだった。
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「…というわけなのよ」
ドミーには、可能な限り詳しい事情を話した。
ー今後女性同士で子供は生まれなくなること。
ーコンチが、子孫繁栄の役割をドミーに譲りたがっていること。
ーそして、私が人類種の母として選ばれていること。
ー…あと、どうやって私とドミーが【因子】の交換を実行するのか。
それを聞いたドミーは、
「ふにゅ〜〜〜…」
「いやドミーはやらなくていいから!」
「ドミーさま、お気を確かに!」
私とミズアのように卒倒した。
仕方ないので、布を巻いた手でドミーの頬をペチペチと叩く。
「私だってこんなこと話すのは死ぬほど恥ずかしいんだから…!起きなさいよお…!」
「はっ…俺は一体何を…」
何度か叩いて、ようやく目覚めた。
がー、
「…」
「…」
「…」
お互い気まずくなり、しばらく3人離れた場所に座る。
ドミーは天蓋付きの寝台に。
私は麻布で作られたソファに。
ミズアはテーブルに備え付けられた椅子に。
そのまま、しばらく時間が経過した。
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「…危険すぎやしないか」
最初に口を開いたのは、ドミーだ。
何を意味するのかはすぐ分かる。
恥ずかしくて、顔がかあっと赤くなった。
でも、引かない。
「…ちゃんとできるってコンチも言ってたし」
「怪我でもしたらどうする」
「しないよ、そういう仕組みだから」
「もう少し待ってからでもー」
「引き伸ばせば伸ばすほど、レムーハ大陸から人がいなくなっていく。そんなの、だめだよ…」
「…」
「それとも」
ソファから立ち上がり、寝台にいるドミーの前に立ち塞がった。
「私の体、魅力ない…?」
声が震える。
体にも力が入らない。
それでも精一杯ドミーの前に立った。
首筋も、お腹も、腕も、足も、全てをさらけ出して。
私だって、本当はミズアのように体を隠したい。
大して成長してなくて、魅力のない体を。
でも使命は果たさなくちゃ。
世界のため、みんなのため、なによりー、
いずれ王となるドミーのため。
「…分かった」
長い沈黙の後、ドミーが口を開いた。
「本当!?」
「だが、いきなり全てやるのは難しい。想像してみたが、ライナは恐らく明日の出撃が不可能となる」
「それは、そうだけど…」
「では、こういたしませんか」
ミズアが口を挟んだ。
まだ恥ずかしがっているけど、少し表情が変わっている。
瞳に好奇心が宿っているのだ。
「まず、ドミーさまの【因子】を採集してみましょう」
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