第167話 ドミー、300人の美少女と海を楽しむ

 第3話(旧、新ともに)にライナのイラストが掲載されました!

 よかったら覗いてみてください。



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 レムーハ記 地理伝より抜粋


 温泉都市ヴィースバーデンは、アンカラ地方で数百年の歴史を持つ保養地である。

 伝説の竜【ファブニール】を追い求めていたとある冒険者が、動物もモンスターも楽しむ暖かい水、すなわち温泉を発見したのが由来とされている。

 ムドーソ王国の時代に再開発が進み、近代的な施設が多数建造された。



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 このヴィースバーデンの新たな目玉として、【常夏】を作ろうというのが建築士カエナオの構想だったそうだ。

 外から見ればなんの変哲もない石でできた建物だが、中に入ると、カエナオのスキル【創造】で再現された夏の海が広がっている。

 建造から約90年経過しても、施設は健在であった。


 とまあ、難しい話はこのぐらいにしよう。




 「【ドミー軍】の諸君!今日は何の任務もない!思いっきり羽を伸ばしてくれ!まずは準備運動から!」


 【ブルサの壁】から帰還する途上で、【ドミー軍】は300人まで増えた。

 雇用契約を結んで常に俺に従う存在、すなわち常備軍である。

 すなわちー、


 300人の美少女なのだ!

 しかも水着!!!


 「エディト、ちょっと胸が成長したんじゃありません?」

 「えー、ヘルガこそ腰回りがちょっと大人っぽくなったよね。アルビーナもそう思うでしょ?」

 「私は将軍の前でこの肉体をアピールするのみ!」

 「あ、ずるい!」

 「抜け駆けは許しませんわよ!」


 準備運動をしている間にも、皆水着に包まれた瑞々しい肉体を披露する。

 古残のメンバーはノリノリだ。


 「ちょ、ちょっと恥ずかしいかも…」

 「だめよベティーナ。あなたの美しい腰回りを、将軍にもっと見せつけなさい!」

 「ひゃあ!?カロリーネったら…」

 「あれがドミー将軍。このコルドゥラ、あれほどまで美しいシックスパックは初めて見た…」


 新たに加わったメンバーたちも、負けじとアピールする。


 ー胸。

 ー腰。

 ーお尻。

 ーお腹。

 ー鎖骨。

 ーうなじ。

 

 誰一人として同じものはなくー、


 そして美しい!




 「…じとー」

 「むっ、どうしたライナよ」

 

 そばで共に準備運動していた恋人の視線を感じる。

 フリルの付いた赤い水着を着たライナだ。

 やや小ぶりだが、引き締まった肢体をしているライナに良く似合う。


 「べ、別に!変態だなと思っただけ」

 「ふはははは!俺はレムーハ第一の変態を目指すぞおおお!」

 「私が恥ずかしいからやめなさい!」


 「ドミーさま、それではミズアがレムーハ第二の変態を目指します」

 

 豊満な肉体を青いビキニに収めたミズアが俺に同調する。

 …少しサイズ調整に失敗したらしく、かなりぱつんぱつんだ。

 いろんな意味で変態である。


 「もう、ミズアはそうやってドミーを甘やかすんだから」

 ライナは呆れた表情を浮かべたがー、


 「…でも良かった。こうして、皆で笑いあえる日が戻って」

 

 すぐ笑顔になった。



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 「いやっほおおおおおう!」

 

 準備体操も終わり、俺は海に飛び込んだ。

 実は、海は初めてである。


 「おお!本当に塩辛いぞ!魚も泳いでいる!」


 いつか本当の海にも行きたいと願いつつ、堪能した。


 「じゃあライナ!ミズア!早速泳ぐか…ん?」


 後ろを振り返ったが、いつの間にか2人はいない。


 その代わりー、


 「「「ドミーさま、お願いがあります!」」」

 最近【ドミー軍】に加入した新参、約200名がいた。


 「どうした!俺にできることならなんでも聞いてやるぞ!」


 「代表のベティーネが申し上げます。我ら一同ー」




 「「「まだ一度しか【絶頂】しておりません!」」」

 「ははは!そうだったなあ!もう一度体験したいか?」

 「「「ぜひお願いします!」」」

 「いいだろう!」


 俺は砂浜を走り出した。


 「ただし早い者勝ちだ!俺に追いついたものから触ることにする!スキルの利用も自由だ!」

 「「「お望みとあれば!!!」」」



 まあ、新たに加わった家臣の人心掌握も仕事だ。

 ライナとミズアとは、また後で遊ぼう。



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 「すさまじいな、ドミー将軍の身体能力は」

 「そうねアマーリエ。Cランクの使い手が中心とは言え、なかなか寄せ付けない」


 海の楽しみ方は人それぞれ。

 ということで、私とゼルマは砂浜にパラソルを立て、海をのんびり眺めている。

 私は、露出がややすくない黒の水着を選んだ。

 ゼルマは、薄い緑。


 「おわあああああ!?ちょっと待て!そんな一斉に…」

 「「「ドミーさまあああああ!!!」」」


 と言ってる間に、将軍は捕まる。

 さまざまな女性たちに囲まれ、あっという間に見えなくなった。


 「…なあゼルマ。気づいているか?私たちの力が、ことに」

 「ええ。恐らく、【強化】によって強力なスキルを多用したからね。強力なスキルを行使するほど、ステータスやランクも高まりやすくなる」

 「いずれは、【強化】なしでもAランクまで到達する…か。将軍はまさにこの世界の希望だな」

 「ドミー将軍の臣下になるというあなたの決断は、正しかったわ。あたしも、この世界で希望と光を取り戻せた。感謝してる」

 「ははは、ゼルマが褒めるとは明日は雨かな。…じゃあ、そろそろ行こう」

 「?どこへ?」

 

 私は立ち上がり、ゼルマに手を差し伸べた。


 「もちろん、泳ぎにだ。昔は、ゼルマが一番元気に泳いでいただろう?」

 「…馬鹿」


 ゼルマは、はにかみながらその手を握った。



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 「あわわわわわ!将軍、大丈夫なん!?」

 「だ、大丈夫だレーナ…幸せだった…がくっ」

 「それあかんやつやん!みんな将軍と遊ぶのもほどほどにな」


 女性たちにもみくちゃにされた俺を救ってくれたのは、レーナだった。

 健脚の持ち主らしく、セパレート型の走りやすいピンク色の水着となっている。


 「「「も、申し訳ありません…」」」


 「いや、いいんだ。まだ【絶頂】してない者は夜もある。楽しみにしてくれ!」


 「「「はっ!」」」


 恍惚とした表情を浮かべた新参200名は、ようやく解散していった。


 「ありがとうレーナ。このお礼はー」

 「じゃあ走りに行ってきまあああああす!」

 「…海でも走り優先とは流石だな」


 とにかく、ようやく時間ができそうだ。


 「ライナとミズアは…お、あそこにミズアがいるな」

 浜からかなり離れたところで、ミズアが泳いでいるのが見えた。


 …泳いでいるというより、海面から頭だけを出しているという感じだ。


 とにかく向かおう。



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 「どうしたミズア。どうせならもっと泳ごうじゃないか」

 「…」


 ミズアは俺の呼びかけにも答えず、顔を赤らめている。

 

 「ド、ドミーさま…」

 「どうしたんだ?体調でも悪いのか」

 「…れてしまいました」

 「ん?」

 「な、流れてしまいました」

 「なにが?」

 「水着です!」 

 「何だって?」


 いまいち理解しきれていない俺にしびれを切らしたミズアが叫ぶ。




 「水着が、流れてしまいました!!!」


 ようやく理解した。





 「ええええええええええ!?」

 こうして、俺に新たな任務が課せられた。



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