第154話 【将軍】ドミー、人間女性82名と裸になる

 コンチさま向け報告


 【将軍】ドミー、オーク女性17000名を【支配】下に

 次のレベルアップまで、残り20000名



 覚醒には、未だ至らず

 しかし、徐々に兆候が見られると予想



========== 



 7日目の朝方、オーク民族女性17000名の【支配】は完了した。


 「これから部族の将来を担うのは、君たち女性だ!!!」


 「ドミー【将軍】万歳!!!」

 「与えられた命を大事に使います!!!」

 「またあいにきてねー!!!」

 

 オークの女性たちは一斉に歓声を上げた。

 そして、続々と自らの部族のもとへ去っていく。

 ほとんどの者が命と、活力と、平和への渇望を与えられた。

 【女王】コウトの指導の下、部族に新たな展開をもたらしてくれるだろう。

 平和というにはかなり歪んだ形だが、報復と戦争が延々と続くよりも、はるかにマシだと俺は信じる。

 意思の半分をもらう代わりに、俺がオーク民族に平和と繁栄をもたらせば良い。


 今回は1万7000人だがー、


 いずれはオーク民族女性25万人全員を【支配】下に置こう。


========== 



 「オーク諸部族、それぞれの領域に帰還していくわ」

 「【ドミー軍】の警戒も解かせましょう」

 「ゼルマ、アマーリエ。ご苦労だった」

 部族たちが帰還していくのを確認するのに、また1日を要した。

 

 こうして、【草原の和議】も終わりを迎える。

 後に続くのはー、




 「疲れた…」


 疲労だった。

 戦後処理は戦争よりも疲れる。

 それだけでも、戦争は起こすべきじゃないといえるな…


 「後は我らとライナ、ミズアにお任せください。将軍」

 「大将は休むのも仕事よ」

 「ああ…」

 

 というわけで、少し仮眠を取ることにした。


 ちょっとだけ…



========== 



 「…もうそろそろ起きてもいいんじゃない?ドミー」

 「ん?」


 気が付くと、俺は【ドミー軍】の粗末な陣営で寝ていた。

 傍らには、ライナがいる。

 いつの間にか朝まで寝てしまったらしい。

 

 「おお、1日中寝てしまった。兵たちに恥ずかしい」

 「…3日だけど」

 「ん?」

 「3日寝てた」

 「…マジ?」

 「大マジ。【ドミー軍】も笑ってたわよ」

 「そうか。恥ずかしいことをした」

 「でもー」


 ライナは微笑む。


 「あなたはそれだけのことをしたわ」

 「…まだ俺がやったことの評価を下すのは早いがな」

 「いいえ、あなたならきっとやり遂げるわよ。最後まで。今までいろんな試練があったけど、乗り越えてきたじゃない」

 「そうだな。これからがむしろ本番と言える。ライナ、お前の力もまだまだ必要だ。頼んだぞ」

 「うん!じゃあ、私ミズアを呼んでくるからー」


 ライナは去ろうとするが、その姿を見てー、


 思わず手が動いてしまった。


 「…あ」

 その小さな背中を、両手で抱く。

 何度もこうして来たはずなのに、得られる感覚は新鮮だ。

 何故だろうか。


 「すまない。つい」

 「私はいいけど?」

 「…」

 「この前も、結局できなかったし…」


 ライナは俺と向き直った。


 「ああ」

 俺も彼女に向けて口づけをー




 「将軍!!!やっと起きましたか。お話ししたいことが…おっと失敬」

 「アマーリエ。お前わざとだろ」

 「違います。隙あらばことに及ぼうとする将軍がいけないのです」

 「あはは…恥ずかしい」

 「で、なんだ?」




 「そろそろ、兵たちを労ってもよろしいかと」

 


========== 



 ーたしかに、兵たちに労いの言葉もなかったな。

 ー【草原の和議】も終わった今、オークたちの姿も見えません。勝鬨の1つでも上げましょう。

 ーわかった。


 というわけで、俺は【ドミー軍】80名を草原に整列させる。


 「お前たちにはこれまで苦労をかけて来たのに、なかなか労いの言葉もかけられなかった!まずは、かちどきをあげよう!俺たちだけの勝鬨を!!!」


 【ドミー城】で1度だけ使った勝鬨だ。


 「ザマーーーーーー!!!」

 「「「ザマーーーーーー!!!」


 本当は「ざまぁ」と発音したかったのだが、微妙にずれているようだ。

 まあ、少しぐらいいいだろう。


 「ザマーーーーーー!!!」

 「「「ザマーーーーーー!!!」


 草原で思いっきり叫ぶのも気持ちがいい。

 そのまま、何度か繰り返した。


 単純に戦争に勝利した勝鬨ではない。

 人間とオークの抗争に終止符を打ち、【永遠の平和】への一歩を踏み出した勝鬨だ。


 そう、信じよう。

 


========== 



 「さあ!それでは久々に宴会でも催そう!!!ちょうど羊の肉を大量にもらっているからー」

 「将軍!」


 【ドミー軍】の1人が前に進み出る。


 【ブルサ回廊の戦い】で予備軍隊長を務めたアルビーナだ。


 「どうした?

 「その前に、将軍からいただきたいものがあります」

 「いただきたいもの?」

 「そうです!」


 そこまで言い出すとー



 アルビーナは服を脱ぎはじめた。

 事前に準備していたのか、あっさり全て脱げ落ちる。


 「それは、将軍の愛!!!」

 「愛だと!?」

 「【ドミー軍】はずっとこの瞬間を待っていました。将軍と共に平和を取り戻し、喜びを分かち合うその日を!!!」


 「そうだそうだ!!!」

 「ライナ補佐官とミズア補佐官ばっかりずるいわよ!!!」

 「あたいらもたまには可愛がってよね!!!」


 【ドミー軍】の面々もそれに倣う。

 どうやら示し合わせていたらしい。


 「じゃあうちも!!!」

 使者としての役割も全うしたレーナも、


 「たまにはいいよねアマーリエ!!!」

 叛逆者カクレンを常に監視し続けたゼルマも、


 「そうだなゼルマ!!!」

 叛乱軍の攻撃を最後まで防ぎ続けたアマーリエも、


 「ドミーさま!!!ライナも喜んでおります!!!」

 カクレンに致命傷を負わせたミズアも、


 「ちょっと!勝手に人の気持ちを代弁しないでよね!嬉しいけど…」

 叛乱の終息に多大な貢献をしたライナも、




 遮蔽物のない草原で、皆裸となった。

 全ては俺のために。


 「お前たちー」





 「風邪を引いても知らんぞっ!!!」


 「「「その時は将軍に治していただきます!!!」」」

 「分かった!!!いざかかってこい!!!」

 「「「はっ!!!」」」


 そこからは先は真剣勝負。

 俺もプレートアーマーから下着に至るまで脱ぐ。

 そしてー、




 「将軍、そこです、そこがいいのですううううう!」

 「あたいの弱いところ、覚えておいてよねえええ!!!」

 「ドミー将軍!!!ゼルマは恥ずかしがっております!!!」

 「ドミー将軍!この不届き者のアマーリエから先にやっちゃいなさい!!!」

 「まあまあ喧嘩はやめましょう。うちはいつものやつで頼むね!!!」

 「……!!!」

 「いやミズアなんか声出しなさいよ!?」

 「次はライナ補佐官の番!!!」

 「え!?まだ心の準備が…ああもう!かかってこいやああああ!!!…ひふん!?やっぱり腋はダメ、あははははは…」


 こうして、80人分を【絶頂】させるのに、また1日を要するのだった。


 そしてー、







 「はーくしょん!!!」


 翌日俺だけ風邪を引いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る