第108話 ドミー、ライナと逢瀬を楽しみ、ミズアと赤ちゃんプレイを楽しむ


 俺とライナは2人で兵舎に入った。

 これまで【ドミー城】での戦いで出ずっぱりだったため、ある程度人の目が見えない所は久しぶりといえる。


 というわけでー、

 

 「「疲れた…」」

 2人仲良く寝台に倒れた。


 ビクンビ〇ンどころではない。

 しばらく無言となり、休憩する。


 「なんか似てるねここ」

 沈黙を破ったのはライナだった。

 「ん?」

 「ムドーソ城の【おんぼろ亭】」

 「…そういえば似てるな」


 ほんの数か月前まで滞在していた、ムドーソ城の宿。

 ここ最近さまざまな経験を重ねすぎて、すっかり忘れていた。

 もはや10年以上の月日が経ったように感じる。


 「帰ったら引っ越そう」

 「…帰ったら?」

 「ああ。この戦いが終わって、ムドーソ城に帰ったら」

 

 多少現実逃避であることは認識しつつ、未来の生活に思いをはせる。

 

 「ミズアもいるし、あの部屋は手狭だしな。なんなら中流階級エリアにでもー」

 「だめ」


 ライナの指に、口をふさがれる。


 「ど、どうひた?」

 「それ以上言っちゃダメ」

 「…」

 

 とりあえずいうことを聞くと、ライナの柔らかな人差し指が離れた。


 「…知らないの?今の戦いが終わったら~っていうのは【グラフ】っていうの。それを話した人間は、死神が地獄に連れ去るって言われる不吉な言葉。だから、言っちゃダメ」


 ライナは、少し怯えた表情を浮かべていた。

 知らないこととはいえ、申し訳ない。

 だから、少し空気を変える。


 「なあに!」

 勢いよく寝台から立ち上がった。


 「どんな死神か知らないが、俺が手で触れればビク〇ビクンよ!!!【グラフ】なんて何度でも言ってやる。ムドーソに帰ったらライナと思う存分ビクンビ〇ンするぞおおおおお!」

 「馬鹿!死神に聞こえたらどうするのよ」

 「ライナと思う存分ー」

 「それはもう言うな!外に人もいるし!」

 「…はい」

 

 

 「もう」

 ライナは顔を赤くしていたが、少し元気が戻っている。

 「死神も、ドミーにあきれてどっかに行ったわ、きっと」

 「そうだな。だから安心してくれ。お前を残して死んだりはしない」

 「…本当?」

 「本当だ」

 「ずっと一緒にいる?」

 「ああ」

 「死ぬときは、完全に同じ日同じ時間?」

 「死神に頼んでおくさ」

 

 「…嬉しい」

 

 ようやく笑顔を取り戻してくれた。

 良かった、本当に。


 「じゃあ!ドミーは寝台でじっとしてて!」

 「?いいが…」


 「ふんふんふ~ん♪」

 ライナが【炎魔導士のドレス】を脱ぐ音が聞こえる。

 「ドミーも脱いでよ!」 

 「いや、なんか恥ずかしいー」

 「自分は散々私のこと脱がしてるでしょ!」

 「あうん…」

 

 というわけで、久々に俺たちは生まれたままの姿になった。

 エンハイムで【ハーレムの誓い】を結んだ時以来だろうか。

 俺は寝台で仰向けになり、ライナはその上に馬乗りになった。


 「今日は、私が自分からドミーに触れるから」

 「俺は?」

 「寝てて」

 「おう…」

 

 耳にそっと顔を寄せられる。

 「戦いが終わってムドーソに帰ったら、私のことは好きにしていいから…」




 結局ライナが【絶頂】したのは3回で、30回からはほど遠かった。

 だが、単純な【絶頂】以上の充足感があった。



==========



 「お待たせしました」

 ライナが兵舎を去り、次はミズアの番だ。


 だが、俺は戸惑った。


 「ミズア。その、それはなんだ?」


 ー哺乳瓶。

 ーおしゃぶり。

 ーよだれかけ。

 ー絵本。


 それらの道具をどっさりと並べ、胸を貼る。


 「今日は、ミズアがドミーさまのお母さんになります!」

 「…」

 「どうされました?」

 「いや、今日は夜風に当たろうかなと」

 「ミズアのことが、お嫌いになりましたか…」

 「いや!違う!だから泣くなって!!!」



==========



 「なるほど。俺が誰かに甘えることができないように見えたと」

 「今回のオーク叛乱以降、どこか無理をしているように感じられました。【ハーレムの誓い】を結んだ身として、何かできることがあるのではないかと…」

 「確かに、言われてみればそうかもしれないが」

 「ここで、一度自らを解放してみてはどうでしょうか」


 【ドミー軍】を掌握した以上自業自得だが、俺は常にトップに立ち続けた。

 オークの叛乱以降は、特に。

 皆が俺を将軍と呼んでくれるのは嬉しいが、心のどこかでプレッシャーを感じる。


 「ライナの前では、どうにもかっこつけてしまうからなあ」

 ライナは昔ほどではないが、精神的に少し脆いところがあった。

 だから、俺はつい守ってしまいたくなる。


 …いや、この場合ミズアが達観しすぎなのか。


 「もしよろしければ、ミズアに思う存分甘えてください」

 「し、仕方ないなあ。少しだけだぞ…」



==========



 少し後。


 「ばぶばぶ」

 「よしよし、ドミーさまは可愛いですね」

 「せんそうとかもうやめたいばぶ」

 「そうですね、ミズアもやめたいです」


 …ハマりそう。


 ライナの時とは違う快感が突き抜け、俺は恍惚となっている。


 「このミズアの膝で、自分を解放してください…」

 この前のように、ミズアは俺に膝枕を貸している。


 完熟した桃のような瑞々しい肉体のミズアの膝は、とても心地よい。

 時折頬を撫でる掌の丸さとフワフワさもたまらない。

 なによりー、


 視線の先に広がる、丸々とした二つの乳房。

これを見れば、オークたちも敵意を失って和睦を申し込むだろう。

 俺の【ビクスキ】のレベルでは触れないのが悲しい。


 ああ、面倒な仕事や野望など投げ出して、もう一度赤ん坊から生まれ直したいものだなあ。


 「おしゃぶり、ほしいばぶ」

 「どうぞ」


 特に何をするでもなかったが、この時間を心ゆくまで楽しんだ。

 ミズアのおかげだ。



==========



 「…」

 長い時間ミズアに甘えたあと、俺はおしゃぶりをとった。

 「みずあ」

 「はい」

 「こどものころは、こんなことができなかったばぶ」

 「…?」

 「おれがうまれたとき、おかあさんはきっとおれをすてた。ものごころついたときから、ずっとどれいだったばぶ」

 「ドミーさま…」

 「だから、少しだけでも、子供の頃に戻れて楽しかった」

 

 ゆっくりと、ミズアの膝から顔を離す。

 「…たまにでいいからやってくれ」

 「いつでも良いですよ。それでは、今日はこれでーきゃっ!?」

 帰り支度をしようとしたミズアを、後ろから抱きしめる。


 「俺だけ甘やかされるのは、気が引ける。いいか?」

 「…」

 ミズアは一瞬沈黙したがー、 


 「実は、少し期待してました…」


 俺に身を委ねた。

 



 こうして、一時の平和な夜は過ぎていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る