第5話 仲間をゲットしてビク〇ビクン
「…というわけなんだライナ」
「はあ…」
十数分後。
俺は背中にライナの杖を突きつけられながら、事情聴取に応じていた。
両手を上げ、立ち上がった状態のままで。
一応、ここに至るまでの事情をすべて話している。
「はっきり言って、まったく信用ならない内容ね…」
「奇遇だな、俺もだよ」
一応、杖を通して俺に触れている形となるが、ライナに変わった様子はない。
どうやら、俺が直接触れる必要があるらしい。
「とりあえず、あんたがおかしな人だってのは分かった。って、少しでも変な動きしたら焼くわよ!」
「分かったよ。とりあえず、そっちを向いていいか?」
「ゆっくりね、かたつむりが這うスピードより遅くよ!」
そういうと、ようやくライナは俺の背中から杖を離した。
要望通り、ゆっくりと振り向く。
「…何よ」
まじまじと見てみると、ライナは美しい娘であると分かった。
大人への成長階段を上りつつあるが、まだ幼さを残している。
勝気な表情は少し曇っていて、どこか儚げだ。
「いや、綺麗だなと思って」
「褒めても何も出ないわよ」
フンとそっぽを向くライナ。
そんなところも可愛い。
「さっきは、悪かったな。【ビクスキ】を使って」
「控えめにいって最低ね」
「すまない。あの映像を見せられて、俺はどうやら熱に浮かされてしまったらしい」
「【男性】が活躍する映像ねえ…」
実際、今は大分落ち着いた。
自分がやったことに、驚きすら感じている。
コンチになにかされたのかもしれない。
「…」
「…」
少し、会話が途切れる。
「なあ」
「…何よ」
「飯でも食うか」
==========
「なかなかおいしいわね。褒めてあげてもいいわ」
数時間後、俺とライナは簡素な食事を囲んでいた。
すでに周りは暗くなっており、火を使った灯が2人を包んでいる。
ライナが持っていたありあわせの食材を鍋で煮ただけだが、料理には自信がある。
「前の冒険集集団では俺がメシ係だったからな。俺が冷えた残り物を喰わされるのが決まりだったけど」
「重い話はやめなさい…ほら、あんたも食べなさいよ」
「分かった」
木でできたスプーンで、俺も食べ始める。
「さっきの変なこと…【ビクスキ】って言ったかしら。コンチとかいうやつの話では、【男性】と【女性】はみんな体験するコトなの?」
「ああ。あと、抱き合って色々するらしい」
「?聞いたことないわね」
「なんでも、子孫を残す時に行う儀式だそうだ。映像を見たが、いまいち何をやるのか分からん」
「【抱きしめの儀式】のこと?」
「かもしれない」
【抱きしめの儀式】とは、レムーハで【女性】同士が親交を深める儀式だ。
数分間抱擁し、永遠の友情を分かち合う。
【男性】と【女性】で行われることはないが…
しばらく会話が途切れ、俺とライナは食事を続ける。
少し熱かったのか、ライナは食材に優しく息を吹きかけ、食事を口に運んでいた。
「そういえば、こんな所にゴブリン退治に来たそうだが、少し危険じゃないのか?言っちゃ悪いが…」
「レベルが低いってことでしょ。自分でも分かってる」
「何かあったのか?」
「…私、落ちこぼれなのよ」
ライナの表情に影が差す。
「元々、別の冒険者集団に所属してたんだけど、なかなかレベルが上がらなくてね。原因が分からなくて、色々試したけどうまくいかなかった」
「そうなのか…」
「結局、居心地が悪くなって、そこは抜けちゃった。大物を討伐すればいけるかなと思って、今回の依頼を受けた。でも、多分そのままだったら死んでたかもね」
「…」
「説明によれば、あんたが強化してくれたんでしょ?」
「一定時間だけらしい。もう一度やってみないと詳しくは分からないが」
「そう…だからって、あんたが私にやったことは許されないからね!」
「分かってる。すまない」
「分かればよろしい」
いつの間にか、鍋の食材がほとんどなくなっていた。
スプーンと器を置き、俺とライナは再び沈黙する。
「ねえ、あなたはそのスキルで何するの?」
先に口を開いたのは、ライナだった。
「言ったらドン引きするぞ」
「これ以上あんたにドン引きする要素ないわよ」
「じゃあ言うが」
「このスキルで、【女性】を支配する【男性】になりたい」
「引くわ…」
「どうせ、俺はこの世界ではさげすまれ、奴隷としてこき使われる身だ。生まれてから20年ずっとな。こんなに面と向かって【女性】と話したのも、ライナが初めてだよ」
「私はまあ、色々そういうのに触れてるからね…それはともかく、正気じゃないわ!」
ライナは俺をビシっと指さす。
「この世界はねえ、あんた以外はみんな【女性】なの!【男性】は1000年に1度しか現れないイレギュラー!敵に回したら怖いわよ!」
「そう思って、今まで我慢してきたさ!でももう限界だ!俺を受け入れてくれない世界のルールなんて、守るつもりはない」
「そう!じゃあ、どうなっても知らないんだからね」
「どうとでもするさ。じゃあな」
俺は食事に使った道具を片付け、俺は立ち去ろうとした。
「ま、待ちなさいよ」
すると、ライナの少し震えた声に呼び止められる。
見ると、また顔が赤くなっている。
「あんなことして、私を置いていくつもり…?」
-【ビクスキ】を体験したあらゆる【女性】は中毒症状に陥り、死亡するまで【支配】状態となります。レムーハの技術では解除不可能です。
久々に脳内の声が解説する。
「あんたが、私にやばいことをしたのはなんとなくわかる。本当は、拒絶でもしてしまいたい。でも…」
ライナは一度視線をそらし、迷った末、
「わ、わるくは、なかった、かも…」
吐息とともに、小さな声を絞りだした。
そうか。
俺は気付いた。
とっくに、誰かさんを支配していたらしい。
「じゃ、じゃあ」
俺も、情けない震え声になっている。
もどかしい。
「俺に、支配されるか?」
「…」
ライナは少しだまり、
「いいわ。あなたに支配されてあげる」
肯定した。
「その代わり、条件があるわ」
「条件?」
「ええ」
ライナは、俺にゆっくりと近づいた。
唇が、もう少しで触れそうな距離まで。
「…私も、あなたを利用するわ。色々な意味でね。それと…」
「それと?」
「…優しくして」
そこまで言い残すと、ライナはゆっくり目を閉じた。
「ああ」
実は、やりたいことは決まっている。
【女性】同士で行われる【抱きしめの儀式】である。
「んんっ!」
ライナの小さな体に手を這わせ、優しく抱擁する。
ここで重要なのは、【ビクスキ】により、それだけで強烈な感覚が訪れるという点である。
息もできないほどに。
「あー、やっぱりこれだめ、んふふふふ…くひひひひ」
耐えきれず腰が引けて離れようとするライナだったが、俺は後ろから手をまわして逃げられないようにする。
みるみる顔が赤くなり、体が痙攣しはじめた。
それでも俺は離れず、抱擁し続ける
少しずつ、力が抜けていくのが分かった。
「待ってこれ以上は本当…んん!」
何十秒後、少しだけの休憩の機会を与える。
「ははははは…」
そして、再び抱擁する。
「あ、あんた覚えておきなさい、んふふふふふ・・」
そして、休憩の機会を与える。
「いや…、もうだめ…くふふふふふ」
そして、抱擁する。
繰り返す。
何度も。
==========
ビク〇クッ!
何度か繰り返すと、ライナはビク〇ビクンした。
これが、2度目である。
すでに息も絶え絶えのライナを、ゆっくり開放する。
「はーっ、はーっ、はーっ、本当に、死ぬかも…」
もはや全身真っ赤になっているライナを、ゆっくりと降ろす。
「ほんの挨拶だよ、今のは」
「う、嘘でしょ…?」
「本当だ」
「鬼!悪魔!ゴブリン!」
「なんとでも言え」
「もう…」
そして俺は、ライナの体に手を伸ばしていった。
==========
-コンチさま向け定期報告(0~6時)
・ドミーさま、休憩を挟みながら、6時間【ビクスキ】を連続利用
・女冒険者ライナ、6時間の間に6度ビクン〇クン
・ドミーさま、【ビクスキ】経験値を多数獲得
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