02.

「ねえ、誰と話してたの?」


「見えなかったか」


「うん」


「幽霊。カメラ持って、めっちゃ写真撮ってたよ」


「ぱぱらっちっ」


「いやいや。融のことは撮ってないよ。たぶん、最後に撮った後ろ姿1枚だけに写ってると思う」


「そっか」


「後で送ってくれるってさ。写真」


「ほらーしゃしんっ」


「ちゃんとしたの送ってくれるって言ってたけど」


「そっか」


 立ち上がる。手と脚を伸ばし、頭のてっぺんから、かかとまで。張りつめる。


「踊るのか?」


「踊りには、魂を鎮め、ししゃをなだめる力があります」


「幽霊の姿も見えてないのに?」


「写真のお礼。くるくる」


 ちょっとだけ、心を込めて。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る