人は誰もが仮面をかぶっている
第1話 夕凪焦という少女について
僕のクラスには
色白で、すらっとした体つきの少女。そしてショートカットヘアとぱっちりとした瞳が印象的な少女だ。
特に髪型に関しては僕もたまに目がいく。もともとショートカットヘアの女の子が好きというのもあるが、それだけが理由ではない。
というのも、彼女は髪が鬱陶しいという理由だけで、休み時間に自分の髪を切ったことがあるのだ。それも真横へと一直線に。
あの日の僕はたまたま狸寝入りをしていなかったということもあり、とてもよく覚えている。
その日、彼女は本を読む時に邪魔になっていた髪の毛を横に流そうとしていた。普段はピンなどで邪魔にならないようにしていたが、この時は持っていなかったらしい。何度か髪を横に流したり、耳にかけたりしたが、すぐに読書をしている彼女の視界を塞いでいた。
そしたら何を思ったのか、机から急にハサミを取り出し、何の迷いもなく真横に一直線。切った後は何事もなかったように読書を再開したが、クラスメイトはそれどころじゃなかった。みんなの唖然とした表情は今でも忘れない。
まぁ、その時の僕は笑いを堪えるのに必死だったわけだが。
なんせ髪を切った後の彼女は見事なオカッパで、色白の体と合わせると何だかこけしのように見えたんだからしょうがない。まぁ今は伸びていい感じのショートカットヘアに戻っているわけだが、またバッサリ行かないかと少し期待している自分がいる。
そして、そんなちょっとおかしい彼女は、前述の通りいつも本を読んでいる。髪の話をした後だと信じてもらえないかも知れないが、普段の彼女はとても大人しく、一人で読書していることが多い。多分僕と似たような人種なのではないだろうか。
ただ、僕と決定的に違うところがあるとすれば、それは異性から何度も告白されたことがあるという事だろうか。
漫画や小説のように何十人からも告白されたとか、そんな話がある訳ではない。だが、僕が知っている限りでも三回は告白をされている。多分、僕が知らないだけで実際はもっとたくさん告白されているのだろう。
そしてぼっちとは言ったが、だからと言ってクラスの女子から嫌厭されているという事もなく、たまに話をする事もあるようだ。
もちろんその情報は僕が直接見て知ったというわけではなく、いつものように狸寝入りをしている僕の近くで女の子の情報を話してくれる柳君という存在のおかげで、彼女に関する噂の一部を知っているだけなのだが。
何度か話したかとは思うが僕と柳君の間に交友関係なんてものは存在しない。が、彼はよく僕の机の近くでそんな話をするものだから、心の中でだけは友好に接している。今後もたくさんの情報を期待しているのでお願いします。
そんな柳君から漏れ聞こえた噂の中に、少し面白いものが含まれていた。
どうやら彼女は告白を断る時、普段の物静かな雰囲気からは考えられないほどの毒を吐くらしい。髪をバッサリと切るようなヤツだ、僕はそれくらいのことはするのではないかと思っていたが、どうやら想像以上にキツい言葉で相手をフるのだとか。
なぜ僕がいきなりこんな話をしているのかというと、ひょんなことから一緒に行動するようになったからなのだが……
んー、いつから話始めようか。そうだな、中間テストの前くらいから話してみよう。
彼女と行動を共にして、事件を解決し、友人になるまでの話を。
あぁそうだ、最後に一言付け加えておこう。とても大事なことだからね。心して聞くように。
彼女は隠れ巨乳らしい。クラスの女子曰く……
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