10月12日(水) JK、町を目にする
またシャルルさんに暗視魔法? をかけてもらい、クタクタになりながらも歩く。
体感時間だが、もうかなり歩いた気がする。足の裏が痛くて動かしづらくて、太ももから先に棒が付いてるみたい。
その上景色は森の中、変わらないもんだからより疲労感を強く感じる。
「止まって」
話す話題も無くなり、無言で気まずく感じていた中での唐突なシャルルさんの声に足を止めた。
「……どうしたんですか?」
また何かしらあるのか……と覚悟を決めつつ声をひそめて聞く。
「ああいや、ここから森を抜けて町に出るから、瑠依ちゃんの暗視を解かないといけなくてね」
さっきの二の舞になるからとシャルルさんが私の手を掴んだ。身長は似たくらいなのに、手は私よりも大きくて驚く。成長期なんかな……?
そして今度はスーッと光が抜けていくような感じに世界が暗く色を落としていった。
一応言われてたのと2度目なのとシャルルさんとアヤメの両方に触れているから居場所が分かるってので混乱はしなかった。
星が見える以外、目の前のものすら何も見えない。そこは不安ではあったけど。
「大丈夫、安心して。ここから先は道に出る。僕が先導するから、君はただ歩けばいい」
シャルルさんは私を落ち着かせるためかゆっくりあやすように言葉を続けた。見えてないだろうに……いや、得体の知れない彼なら見えてるかもしれない。コクリと頷いた。
手を引かれるがままゆっくりと歩を進める。すると、これまで草をかき分け踏んでいた感覚が、突然土のような平たんなものに変わった。
シャルルさんの言う道に出たのだろう。そしてその先、遠目に小さな明かりが見えた。
「……ここから先、明かりはあるけど当たらないように。遠目で見ること、いい?
……大丈夫だとは思うけど、瑠依ちゃんの容姿はこっちの住人に見られると厄介でね。守ってほしい」
容姿……?
私は至って普通な日本人女性である。特にこれといった特徴は……あ、でもそっか、ここ異世界だ。もしかしたら珍しいとかある……?
……え、ということは私、外出歩けないんじゃ……。
「僕の家についたらまず容姿を誤魔化す方法を教えるから、それまでは我慢してね」
まるで心を読んだかのような一言に、ドキッと妙な寒気がした。
……え?
この人まさか私の考えてること分かって……?
よく考えてみればそれらしい妙に間のあった言動が多かった気もする。思ったことにすぐ返答が返ってきてたのだ。
チラリとシャルルさんの顔のある方へ視線を向けるが、影があるのが分かるくらいで表情は伺えなかった。
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