10月12日(水) JK、恐怖する
――ッ大蛇……!?
いつもより鮮やかに見えるその世界で、真っ黒な体躯に石のような黄色い目を光らせるソレは異様に映った。
「あー……これは……いっそ、丁度いいかな」
隣から声が聞こえる。バッと振り向くとそこには慣れた様子で浮かぶシャルルさんがいた。
気配も全く無かったのに、気がつけば彼は隣に居た。色々とビビり散らかした私の顔は引きつりまくってるはずだろう。
SAN値チェックのお時間です!! もしSAN値があるのなら1D10は削れてる。
大蛇は獲物がそこにないと気づきガバッと開いた口を閉じる。ダラダラと毒のありそうな唾液が地面に流れ落ち、私の冷や汗はこれ以上ないってほどに溢れた。
何だアレ、何だアレ、何だアレ……!!
ゾワリと、背筋が凍るとはまさにこのこと。
「一時的な目標を見せるよ。見て」
その一切焦りの感じない声と共にシャルルさんはビュンッと姿を消した。え? と一瞬の困惑とともに察した私は大蛇の方に視線を移す。
と、同時に視界が白一色に染まったかと思えばズキンとした痛みと共に真っ黒に落ちる。
まぶ、し……くら……!?
何かが暴れる鈍い音。
「一瞬だったけど見てた……ってあぁ!! ごめん!? そうか、あれ光ったから!?」
視界が無くなりひどく焦る私に、さっきの大蛇を見ていた時の声とは全く違うあたふたとした声が近づいてくる。
視界一面真っ黒で、まさか私……失明……!!
ゾッと嫌な発想に息を吸い込むと、パッと、また世界に光が戻ってきた。といっても先程とは比べ物にならないレベルで暗い。星空だけがキラキラと瞬いていて、必死に目を凝らした。
…………見える……!?
「ごめん、ごめん、ごめんね!? 僕が光見るなって言ったのにこんなことになるとか……!!」
手をバッと掴まれる。そこにシャルルさんの影があって、彼が居ることだけは分かった。あやめも浮かんだ状態なのか私に頬ずりしてくる。
「とりあえず術は解いた。見える!? 目に負荷かかっちゃったよね、痛くない!? 少し瞑って、治すから!!」
そのあまりにも慌てている、私よりも慌てて心配している様子に、フッと冷静になった。
「あ……はい……」
訳の分からないまま頷き目を閉じると、優しい熱が目を包み込んだ。お風呂に入ってるような、疲れが癒やされていくような。治すってことは回復魔法か何かか?
目以外もついでというか癒やされてくような感じ。すっごい気持ちいい……!!
回復魔法って定番だもんね!! この人、ヒーラーもできんの!? 何それつっよ!!
ヒール!! とか言わないんだね何も言わないで魔法使えるとか敵にバレないし最強じゃね!?
え、習お、とにかく絶対これ習お!!
もう色々ありすぎて、テンションがおかしくなっていた。深夜テンションに似てると思う。今何時か分からないけど。
でもとりあえず、脅威は多分このとんでもなく強い人のおかげで去った。それだけは分かった。
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