10月12日(水) JK、希望を抱く
「帰れるん……ですか……?」
少年の澄んだ金色と目が合う。目見られるの嫌じゃない? って思ってすぐに逸らすが、シャルルさん? の目が嘘をついているようには思えなかった。
「……あの子がこの世界で生を終えたのは僕のせいでもあるからね。
帰る方法はあるにはある。ちょっと……かなり大変だけど。
でも、それでも帰りたいと思うのなら、教えてあげるよ」
……私に帰ることを諦めるなんて選択肢は無かった。
「教えて、ください」
大変だとしても、帰りたくないわけがない。
待ってくれてる人が居るんだし、この生活を一生続けるのも…………きっと、厳しい。
「……うん、分かった。
そう君が言ってくれて安心したな。君を元の世界に返してあげたいって、僕は思ってたから。
それで君、名前は? あと、そのお茶、飲まないと冷めちゃうよ」
そう言われて、まだ一切口をつけてなかったそれを眺め……飲んでみる。ふんわりと花の柔らかい香りが口いっぱいに広がった。あ、ぬるいけど美味しい……。
「……
「じゃあ瑠依ちゃん、荷物まとめて。日が沈んだらここを発とう」
るいちゃ……!? 随分と馴れ馴れしいなこの人。……命の恩人ですが。
てかそれよりも……!
「え、どっか行くんですか……?」
一体どこへ? なぜ? 日が沈んでからって、野生動物に襲ってくれって言ってるようなもんじゃ……?
「うん。ここは色々と……都合が悪いからね。僕の店へ向かうよ。
……方法を教える前に、条件があるんだ。それを満たしてからじゃないと教えられない」
店……?
お茶をいただきながら、思い出す。
そういえばこの人、薬師兼……何だったっけ。なんかよく分からない職やってるとかなんとか言ってたっけ。
……あれ、これはいい感じに言いくるめられてタダ働きさせられるとかそうゆう流れじゃないよね? そんな話何回も読んだことあるけど……。
「条件……?」
一瞬で目の前の相手が胡散臭く感じられる。見た目的には同い年くらいだし、そもそも本当に薬師とかなんて難しそーな職ついてんのこの人……?
警戒していてこしたことはない、と今更だけど気がついた。なんでこんな、見知らぬ人の入れたお茶飲んじゃったんだ私。ここ異世界だぞ?
「瑠依ちゃんが、教えてもいいって思えるほどに強くなること」
だが、返ってきた言葉は予想外のものだった。
強くなること……?
あまりに大まかすぎて分からない。何が強くなる……? 戦闘力? それとも精神力? それ以外? それに帰る方法と何が関係すんの、それ……?
「僕が君に修業をつける。なかなかに厳しいとは思うけど瑠依ちゃんはそれに耐えてくれ」
……はい……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます