第11話 親友の家到着
「あっ、
「ありがとう、
「どういたしまして〜」
陸斗が
小学生に見えなくもない、高校1年生とは思えないほどに小柄な体型、黒く艶やかな髪にツインテール。そして、部屋着であろうか、白のノースリーブシャツにデニムのホットパンツとなかなかに刺激的な格好で彼女は出迎えたのだった。
その事に出迎えた後に気づいたのだろうか、両手で裾を伸ばし抑え出した愛利。
だが、その仕草はむしろ逆効果でより扇情的な格好になっていることに愛利は気づいていない。
そんな愛利のことを気にしてか、陸斗は愛利の方を見ないようにわざと顔を逸らしていた。
そして愛利はと言うと、自身の格好が恥ずかしくまともに陸斗の顔を見れずにいたのだった。
「それで、友徳は?一応行くって電話したんだけど」
このままでは埒が明かないと思い、陸斗は本題へ切り出す。
「そうだったんですね!急に来たんでびっくりしました」
「あれ?友徳から聞いてない?」
てっきり友徳がきちんと知らせていると思っていた陸斗は、愛利の発言にキョトンとする。
だが、暫くすると両者は事情を理解した。
いや、理解するまでもなく単純明快なことであった。
言ってしまえば、友徳が愛利に伝えてなかっただけなのだから。
「先輩が来るなんて一言も聞いてなかったので、ちょっと兄貴ボコって事情聞いてきますね」
表情は穏やかだが、言っていることは物騒極まりない愛利。
「あの?愛利ちゃん?キチンと釘を刺しておかなかった俺が悪いから友徳を責めるのは……って、聞いてないな」
せめてもの救いで、友徳を擁護しようとする陸斗だったが、陸斗が言い切るよりも先に愛利は友徳のいる部屋へと向かうべく、家の奥へと消えていくのであった。
そして家の奥からは
「オラァ!クソ兄貴ィ!!!」
先程まで愛利の様子からは予想できないほどの罵声が家中に鳴り響く。
「……すまん友徳。そして頑張れ。俺にはもうどうにも出来ない」
家の奥から親友の声が微かに聞こえ始めると、陸斗は手を合わせ合掌をする。
陸斗は身をもって知っているのだ、家族間ヒエラルキーは女性の方が上だと。
だからこそ、先程擁護しようとしたのだが、結果はこの通りである。
「とりあえず、お邪魔しまーすっと」
出迎えがいなくなってしまった玄関に1人残された陸斗は、そう言って靴を脱ぎ西沢宅へと上がる。
そして、恐らく修羅場になっているであろう親友の部屋へと向かうのであった。
リビングには友徳と愛利の両親がくつろいでおり、2人の様子を気にする素振りはなかったそうな。
なんなら、それなりに出入りしている陸斗のことも特に気にする様子もなかったようだ。
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