第一章 今宵のアヤカシ
今宵も、お露は、いや、露子は、綺麗な着物に、灯籠を下げ、夜道を歩く。
その顔は、血の気が失せ、まるで、死人のようである。
うーむ。どうしたものか。
「おい。お嬢さん。」
とりあえず、声を掛けてみる。
聞こえていないのか、露子は、無言で山道を歩く。
やれやれ。完全に操られているではないか。
「目を覚ましな、お嬢さん!」
露子の両肩を掴み、グッと力を入れる。
露子の身体が大きく揺れ、ハッと我に返ったように、キョロキョロと、辺りを見渡す。
「私…どうして、こんな所に?それに、こんな格好…。」
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