第一章 今宵のアヤカシ


 女は、細い山道を歩いて行く。


こんな所に、何の用事だ?


どんどん山奥へと進む女。


しばらくすると、一軒の古びた家が見えた。

こんな所に、家?ますます、怪しい。


女は、家の玄関の前に立つと、ドアを叩く。


「優也さん。露でございます。ここをあけて下さい。」


露だって?フフフ。本当に牡丹灯籠だったのか。

それとも、真似事か?


何度か女がドアを叩いていると、がチャリと、ドアが開いた。


中から出てきたのは、顔色の悪い若い男。


「露さん。今夜も来てくれたんだね。さぁ、中へ。」


優也に言われ、露は、提灯の明かりを消し、家の中へ入って行った。

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