第一章 今宵のアヤカシ


 カランコロンと下駄の音。

綺麗な着物を身に着け、片手に提灯をぶら下げて、

一人の若い女が夜道を歩いている。


はて?牡丹灯籠か?


今の時代に、着物とは珍しい。

しかも、こんな夜更けに。


女は、月明かりが照らす夜道を静かに歩いて行く。


怪しい。しかも、何やら面白いことが起こる気配。


今宵は、この女の話でも致しましょうか。




あっ、申し遅れました。

私、この話を進めていく白狐(びゃっこ)と

申します。

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