第7話 エレベーター

 つい先日、怪談話になって、その時に聞いた話です。


 エレベーターがある建物なんていくらでもありますよね。

 Aさんのところも会社も三階建ての建物で、エレベーターが完備されていたそうです。



 社員が少なくなった夜おそくのこと、一階で作業していると

 ウィーン

 と、エレベーターが動く音がした。

 人気のない建物の中は、よく物音が響いたので、いつもより大きく聞こえ、


(誰か降りてきたのか?)


 と思ったけれど、よくよく思い返してみれば、トイレに行ったとき、エレベーターは一階で止まっていたはずだと、思い出した。

 誰か来たのなら、足音が聞こえてくるなり、近くになる自動ドアが開く音がするはずだが、そんな音は聞こえてこなかった。


(誤作動?)


 エレベーターのところへ行くと、エレベーターの扉上の階を示す掲示板は『B1』が表示されていた。

「B……? 地下なんてあったか?」


「地下なんて聞いたことないんやけど……」

 鳥肌が立ち、背中がぞくっとしたとき、エレベーターがまた動き出した。

 逃げようとしても足がすくんで、動けずに、掲示板の番号が変わっていくのを、ただただ目で追っていた。


 掲示板の番号が、四階で止まったところで、Aさんは、

「年甲斐もなくはずかしいんやけどな、」と前置きをして、

「うわー!」っと声をあげて、ダッシュでもといた場所に戻って、さっさと戸締りをして帰ったとおっしゃいました。



「なんで、そんなに急いで帰ったんですか?」と聞くと、

「怖いやないか。だって、建物の四階っていったら、屋上なんや」


 聞いた私も背中がぞわっとしました。

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