41)小説って生き物だと思う

 現在、執筆作業がとある章の佳境に入ったすなさとです。

 すなさとは、なぜか佳境に入ると筆が止まります。なんというか、気持ちが先走り過ぎてタイピングが間に合わず、なんとなくテンションが下がるんですね。(分かります?)

 おかげで、ここで駄文を書いているわけですが、そんな余裕をぶっこけるほど、続きが書けているわけではありません。


 ところで皆さん、執筆中に物語が思わぬ方へ向かい始めることってありませんか。

 すなさとは、そこそこあります。今日はそんな話です。

 今の『月影~』を読んでくださっている方には、若干のネタバレ的な要素が含まれていますが、作者自身はそこまで気にしていないので、気にならない方はそのままどうぞ。




 実は先日公開したエピソードに「このまま二人がうまくいくのはなんかモヤる」みたいなコメントをいただきました。ちなみに、このモヤリは、登場人物全ての事情を把握している神サイド的視点からのモヤリで、作中のキャラたちは全くモヤっていません。

 とは言え、作者である私もまさに同じことを感じていて、続きを書きながらも「これ、このまま行っちゃうのかなあ」と他人事のように考えていたんですよね。(おいおい作者!)


 しかし、やっぱりそうはいかず。


 「やっぱりそうはいかず」などと他人事のように書いたのは、自分が想定していなかったシーンで、まさにその問題が噴出してしまったからです。書きたくて書いた訳じゃないって感じ?


 そして気がつくと──、あれ? 予定していたところと全然違うところに出た……💦

 物語が音を立てて脱線していきます。これ、もうどうやって本筋に建て直すのよ、私。


 じゃあ作者としてコントロールすればいいじゃん、と思うかもしれません。でも、これがなかなか難しい。


 私は、最初に物語を考える時、イベントをとにかく考えます。ここで二人が出会って、次にこんな事が起こって、そしたらこうなって……、みたいな感じです。

 その時は、あまり登場人物の心情について深く考えていません。ただただ物語としての起承転結というか、流れを考えるだけなんですね。なので、その時点で設定されている登場人物には命が吹き込まれていないような状態です。


 しかし、いざ書き始めると、そこに登場人物の心情がオンされます。当然ながら、彼らの性格によっては、作者の思いと違う動きをし始める者もいます。

 例えば、当初の予定ではキャラAは逃げるはずだったのに、実際にAが動き出すと、「うわ、こいつ逃げねえ。戦う気だわ」といった感じです。


 作者と言えど、自我をもって動き始めた作中の人物を自由自在に動かすことはできません。なぜなら、そんなことをしてしまうと物語全体に不協和音を起こしてしまうからです。

 逃げないキャラAは、逃げないからこそAなのです。そこには、すでに私の意思などに左右されない登場人物の存在があります。そんなキャラAが逃げる時は、逃げるだけの理由が必要となります。だって、逃げないキャラなんですから。


 結果、前述のような想定外が起こってしまうというわけです。冒頭で感じたモヤリは、この想定外が起こるであろう予兆だったわけですね。


 プロットらしいプロットを作ったことがない私らしい悩みなのかもしれませんが、小説って生きてるなあと思う瞬間です。(自分の無計画さをここに落とす)


 ただ、悪いことだけではないんですよ。実際のキャラたちの行動をこうして考察することは、私にとって良い作品を作っていく上で重要な作業となっています。

 そして、キャラたちの予想外の動きにひぃひぃ言いながらも、彼らの気持ちを汲み取ってストーリーを進めていくと、あら不思議、収まるところに収まったりするんですよ。(もう、ノープランにもほどがある)


 そうやって出来上がった話は、最初に私が考えていたものよりずっとしっくりくるものとなっています(あくまでも作者の感想)。まあ、最初からちゃんとそこまで考えてから書けよというだけの話なのかもしれないんですが。


 モヤリポイントは人それぞれなので、読者さん全てのモヤリを私がカバーして書き仕上げるなんてことは不可能だと思いますが、「小説って生き物だよね」ということで、今日も精進いたします。(合掌)

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