23)使ってはいけない
皆さん、物語を書く上でいろいろな世界を想像し、いろいろな設定を考えていることと思われます。
で、今日は、そんな物語の設定で苦しむすなさとの話です。
ここカクヨムで私が書いている物語の登場人物は、ほとんどがあやかしです。と言っても、人として立ち回っているので、ほぼ人なのですが、やはりあやかしなので使う言葉に、ほんの少し気をつけています。
例えば、人ではないので「人」という言葉はあまり使わないようにしています。分かりやすく例示すると
「あの人」⇒「あいつ」
「〇〇な人」⇒「〇〇な者(輩、奴、子、方)」
「人望がある」⇒うーん、「徳が高い」「誰からも頼りにされている」??
まあ、こんな感じです。
とは言え、使っている言葉が人語である以上、言葉の中から完全に「人」の要素をなくすことは不可能です。しかし、それでもやはり「人」じゃないわけで、そこはちょっと意識して書いています。
で、今書いているのは、三百年前のあやかしの国の話です。時代で言えば江戸時代初期といったところでしょうか。異世界なのですが、人の国ともつながっていて、当然ながら人の生活文化の影響を受けていて、話すのも人語、そういう設定です。
あとは、人よりのんびり発展していて、いろんな時代の文化がごちゃ混ぜになっているとか、細かく言うといろいろありますが、まあ、話がそれるので省略します。
さて、そんな設定なので、前述した「人」という言葉を使わないという制限は当然ながらある。さらに、三百年前なのでカタカナが使えない。
ここまでが最低限の縛りです。
では、「人」という言葉を使わず、カタカナがなければそれでいいかと言うと、そういう訳にもいきません。例えば、三百年前にはない言葉があります。私は国語学者ではないので、言葉の成り立ちを全て知っているわけではありません。なので、分かる範囲で使わないようにしているというのが現状です。
先日、「茶番」という言葉を使ったのですが、ふと気になって調べてみると、この言葉が出てきたのは江戸時代中期以降ということが分かりました。
うーん、使えないじゃないか。
似たようなことが、書いていると結構あります。当然、別の言葉を考えるわけですが、そもそも、そこまでボキャに溢れる知性を持ち合わせているわけでもない。
しっくり馴染む言葉が見つからない。「これだ!」と思い付く代替の言葉は、案外カタカナだったりする。しょうがないので、複数の言葉を組み合わせると、説明文みたいになっちゃうんですね。
そのうち心が折れそうになり、シーンの内容自体を変えようかとか考え始めます。もう、これ、何基準?? 話が全然進みません!
そんなこんなで何度も紆余曲折し、ようやく出来上がるわけです。なんか、カタカナを使ったら罰ゲームとか、笑ったら罰ゲームとか、そういう番組があったけれど、それに似ている。言葉を自由に使えないって、こんなに苦しいことなのか。
それでも、読み返すと、少しは和テイストになっています。たぶん。
感想で「和を感じる」といただいたりすると、頑張った甲斐があったなと思います。
本当に歴史物を手がけている人から見れば、私の作品なんて和風なんでしょうが、それでも和な雰囲気が少しでも醸し出せているなら、それでいい。つーか、これが限界。仕事じゃないので、ここまでです(苦笑)。
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